村松伸(文)・淺川敏(写真)『図説 北京三〇〇〇年の悠久都市』(ふくろうの本・河出書房新社)読了。
おそるべき内容の濃い本だ。
中国の北京を旅行したことがあるが旅行前に何冊かの本と中国の英雄伝説を採り上げたテレビ番組を見て旅行に臨んだ。しかし、この本を読むと肝心要のことを適当に流したまま何も知らないままの北京旅行だったことを痛感させられる。
白眉はやっぱり紫禁城の章だった。皇帝の生活に触れつつ儒教と道教と風水の考え方が、紫禁城の建物の中国独特の空間秩序にどれほど大きいものとなっているか説明している箇所には舌を巻いた。
北京の中心から少し離れた所にある円明園の説明も充実していた。円明園は廃墟好きにはたまらない遺跡ではあっても、破壊される前の姿やなぜ英仏軍に徹底的に破壊されたのか知って入園するのと、知らずに入園するのとでは心に迫ってくるものが全く異なる。私は知らずに入ってしまったほうだが、本の記述を見て行っておいてよかったと思う。園のことを思い出す度にこの本の助けを借りたく思う。
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