デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



トレヴァー・ノートン(赤根洋子訳)『世にも奇妙な人体実験の歴史』(文藝春秋)読了。

今年読んだ理系のノンフィクションで最高のものになるのではないか。
世界には未知なる疫病を解明や、特効薬の効果の研究や、放射線の研究や、海洋生物の生態の研究や、さまざまな環境下での肉体の限界の研究などで、自分を被検体にして文明を前進させてきた少なくない人々が存在する。そういった最初の一歩を踏み出した人々、そのうちの多くが歴史に名を残しつつもほとんどの人にその名を知られることはない人々を、著者はよく採り上げてくれたと感心する。この本で紹介されている人々の最初の一歩、マッドサイエンティストたちの知的好奇心の高まりぶりは驚くべきもので、その実践内容は興味深くかつおもしろいことばかりなのだ。
現在の珍味は食べられるものと分かっているものがほとんどだが例えば人が納豆を初めて口にすることや、ホモ・エレクトスがアフリカを脱出したのち、現在の南アフリカの狭い範囲内に閉じ込められたような形になったホモ・サピエンスが貝類などの海産物を初めて口にするような一歩は、まさに最初の一歩であり、人体にとって害のない物に関する知識を得るまでにはどれほどの困難やおびただしい犠牲があったことだろう、この本を読んで太古の昔の人々の最初の一歩に思いをはせることもできるように思う。

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