ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

有馬温泉 御所坊

2011年10月31日 | インポート

Photo 前後しますが、29日(土)に、学生を連れて神戸市の有馬温泉に、書を使った看板やデザインの研修に行ってきました。特に、一番の目的地は有名な「御所坊」です。ここは、創業1191年(平安時代最後の年)という老舗ですが、高度成長期に近代化に乗り遅れながら、発想を変えて、その伝統を活かしながら現代性も持たせることを考えます。そこで、神戸在住のデザイナー綿貫宏介氏に全面的にプロデュースを任せ、木造の伝統家屋と、南欧の雰囲気、そして篆隷書・六朝楷書を絶妙にミックスしたデザインによって改築し、瀟洒で魅力的な旅館に変身します。詳しくはサイトをチェックしてみて下さい。

http://www.goshobo.co.jp/goshobo/

Goshobou以前、福知山ホテルで綿貫宏介氏のデザインを見て以来、私はそのデザインのファンになりました。ぜひ一度これを学生たちにも見せて、現代的に書をデザインの中にアレンジするとはどういうことかを考えさせたいと思いました。比較的徳島から近い有馬温泉に、綿貫さんのデザインを全面的に取り入れている旅館を見つけましたので、今回の訪問となりました。

社長令息で、経営陣のお一人であるイケメンの金井一篤氏に、お話を聞きながら旅館を案内して頂きました。「俗塵から離れた神仙Photo_2境でお客様にくつろいで頂く」というコンセプトにこだわって、老荘思想をベースにしたデザインは、見る人の心をくぎ付けにします。

掛け軸や額はもちろんですが、部屋の看板やトイレ・消火器の表示、のれん、浴衣、避難経路図、食器に到るまでが、書の作品として考えられていました。空間そのものを作品として意識して、書もその中の一部に融け込ますのです。

今や、綿貫氏のデザインは、御所坊だけでなく、有馬温泉の多くの店で使われ、温泉全体の魅力を演出していました。書のデザインが町全体のイメージを作り上げている好例といえましょう。昼食に御所坊の特別室で頂いた「そば御膳」も絶品でした。学生にとって、たくさんの良い刺激を頂き、本当に感謝です。


サンマ祭り・グルメフェスタ

2011年10月31日 | インポート

Sanmamaturi 10月30日(日)、徳島市新町川周辺の中心市街地で開催された、イベントに行ってきました。一つは「女川・徳島サンマ祭り」で、まちなかキャンパスの1周年記念イベントでもあります。最初に宮城県女川商工会の青山貴博氏により東日本大震災の体験談をお聞きしました。3.11の大津波に遭遇し、商工会ビルの屋上の給水タンクにしがみついて九死に一生を得た方です。本物の映像を見ながらで、本当に津波の恐ろしさが実感できました。

このあと、原秀樹徳島市長と原仁志佐那河内Sannma_2村長も交えたパネルディスカッションのあと、教え子の学生が書いた『サンマ祭り開催』の横断幕の贈呈式。うちの学生は2名参加しました。

その後、新町川の水際公園までの約100mを横断幕を先頭に行進しました。これはその時の映像です。 その後、さっそく会場では、女川から来られた漁師さんたちが炭火で焼いたアツアツに、佐那河内産のスダチを絞ってかけてその場で食べるというもので、最高の味でした。あっという間に行列ができて、用意した500匹は1時間で売り切れました。

Gurumefesuta2サンマ祭りの会場もその一部なのですが、今年秋から毎月一回のペースで始まったグルメフェスタの横断幕やメニューなどの標示も、学生が担当していますので、それを撮影しました。書の表示はやはり人目を惹きつけ、出店された方々も喜んでくれていました。また、テントで多くの露店が出て、特に魚の干物・燻製、たこ焼きなどがおいしかったです。 小雨が降り続く中でも、多くの市民が参加し、新町川の対岸のボードウォークでも別なイベントを実施していて、人出は非常に多かったです。

Gurumefesuta_3  郊外大型店主流の購買形態になって、さらに不況が追い打ちをかけ、どこの街の中心商店街も人出の少なさに苦しんでいますが、でも人が智恵を出し合い、協力して汗を流せば、まだまだ捨てたものではありません。新町川は、カヌーを楽しむ人も多く、美しい眉山のロケーションとも相まって、歩くだけでも楽しいところで、土地としての風情が抜群です。

このような取り組みに、書道を活用して頂けることがとてもうれしく思います。これは参加した学生にとってもたいへん勉強になる機会でした。


京都の一日

2011年10月25日 | インポート

Dscn0502 23日(日)は、学生・卒業生を乗せて、京都まで往復しました。この日は杉村邦彦先生の個展に合わせて、博物館めぐりもしました。

まず、午前中に行ったのは京都国立博物館で開催中の「細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション-」展です。細川氏は室町時代の管領家で京都にいましたが、阿波・讃岐・伊予もその領地だったので、徳島に縁が深く、さらに戦国大名となってからは丹後・豊前・肥後と転封して、現代の細川首相にまで続きます。細川幽斎は和歌・能・有職故実に通じ、その子忠興は千利休の有力な弟子で、ガラシャの夫、その子忠利は54万石熊本藩主の初代でした。宮本武蔵の雇用主でもあります。歴代、文化的なことにも造詣が深い一族で、日本の文化にも大きな影響力を持ちました。近代になっての当主である護立も日本画や東洋美術のコレクターとして有名でした。こういう家の御宝ですから、とにかく目を見張るような逸品ばかりで、教科書で見るような絵も多かったです。書道で、特に良かったのが、図録写真の「伏波神祠詩巻」です。黄庭堅の名作ですが、近くで見ると、墨の強さがよく分かりました。また、宮本武蔵の筆と考えられている屏風絵も良かったです。この展覧会は11月23日までやっています。

食事のあと、泉屋博古館に移動して企画展を見ました。この日が最終日でした。近代から現代にかけての日中の書画が中心で、住友家のことがよく理解できました。明治の住友家当主で、コレクターとして有名な住友春翠(1864~1926)が、西園寺公望の実弟であることを初めて知りました。内藤湖南とも仲が良く、辛亥革命で清国のお宝が西洋に流出しようとした時に、内藤湖南がそれを何とか日本に留めようとして日本の財閥に声をかけて購入するのですが、その財閥の一人が住友春翠であったこと、そして春翠がもとは京都の公家の出身で、西洋通だった西園寺公望の弟であったことがそのような文化的な収集に関心を持たせる一因だったわけです。

12 午後3時からは、京都市役所に隣接する「ギャラリー創」で、杉村邦彦先生のギャラリートークがありました。杉村先生の自伝的なお話で、今まであまり聞いたことのないお話も聞けました。ギャラリーの部屋一杯に聴衆が入り、1時間半のお話を楽しみました。作品も、書ばかりでなく、画や拓本を混ぜたものもありバラエティーに富み、楽しいです。ちなみに、拓本に賛の入った作品の拓本部分は、私がお盆休みの時に、丸一日かけて約10枚を採ったものの一部です。

お話を聞いたあと、徳島に帰りました。なかなか充実した京都での一日でしたが、少し疲労し、ぐっすり寝ました。


チュチュチュロスカフェ

2011年10月15日 | インポート

Churosu1 今日、商店街で初めてお会いした長谷川さんのお店に行ってみました。その名も「チュチュチュロスカフェ」。東新町商店街のアーケード中央部にあります。以前、まちなかキャンパスの伊藤さんからお話は伺っていまして、ここにはとくしまストラップも販売しています。

チュロスというのはスペインのお菓子で、棒状のドーナツのような揚げ菓子です。この店ではスペインからチュロスマシンを購入して、目の前で作って見せています。店はカフェですので、中でチュロス以外のお菓子や飲み物も頂くことができます。チュロスを作っている場面がとても面白いです。ニューと棒状の白い生地が出てきてそれが鍋の中の煮え立った油に落ちると揚げ作業になり、きつね色になったら完成です。

まわりにシュガー、きなこ、シナモン、阿波三盆糖などをまぶして出来上がり。個人的には、シナモンが好きです。長さは約30cm、外側がさっくり、中はもっちりして、歯ごたえもあってとてもおいしかったです。原料には、地元産の米粉を使用しているのがいいですね。

Churosu2 コーヒーとセットで460円でした。チュロスだけの単品は190円~230円とお手頃です。お菓子というよりはパンのような感覚で食べられますので、小腹がすいた時のおやつにもちょうどいいと思いました。ドーナツだとやはりお菓子の感覚で私のように甘いものがそれほど好きでない男性には少し抵抗がありますが、チュロスは抑えた甘さで、あまり抵抗感がありませんでした。

店内には、女子高校生などの若者の他、親子連れ、年配の方まで、いろいろな年齢層の方がいました。

お店の雰囲気もおしゃれで、お客も絶えることなく、出入りしていました。時代の嗜好をつかんだ長谷川さんのセンスに感心しました。今後もご活躍が期待されます。


淡交会 商店街での茶席

2011年10月15日 | インポート

Chakai_2 今日、明日と、裏千家淡交会の四国大会が徳島市の中心部で開催されています。既にご報告したように、籠屋町商店街に、学生の書による茶道用語の横断幕が展示されていますが、その前で、高校の茶道部の茶席が設けられ、一般公開され、通行するお客さんに抹茶が無料でふるまわれています。今日は、午後、お茶を頂きに行きました。横断幕の下で、茶席が開かれ、和服姿の大人の皆さまのご指導のもとに、高校生たちが初々しい様子でお茶を点ててくれます。御茶の前に下さるお菓子は、クッキーでした。これもあっさりしておいしかったです。

茶席と書の横断幕はとてもマッチしています。一緒にお茶を飲んでいた方は、横断幕の字を鑑賞しながら、楽しんでいました。今回の茶道の大会の責任者である淡交会の工藤陽子さんともご挨拶しました。横断幕に関しておほめの言葉を頂きました。

Byoubu 実は今回、商店街の南端の空き店舗に、私の屏風作品も展示して頂きました。江戸末期の徳島の茶人に関する石碑の臨書作品です。この石碑は大滝山にあります。淡交会では、この石碑の内容を大きなパネルにして、分かりやすく展示して下さっています。今日は、ここに、石碑拓本も一緒に展示してもらうために、持って行きました。淡交会の係の方と、協議会の山田裕子さんが、展示を手伝って下さいました。ありがとうございます。

この後、協議会事務所で、徳島県商店街振興組合連合会理事長の吉坂保紀さん、また東新町商店街の「チュチュチュロスカフェ」のご主人の長谷川さんとお会いし、今後の商店街振興に書道がどのように関われるか相談しました。今後も、様々な形で町づくりに関わっていく予定ですので、どうぞお楽しみに。