ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

徳島県議会ホール学生作品展示2020

2020年11月30日 | 日記
11月30日(月)です。標記の展示が本日から始まりました。今年は2~4年生の小作品8点を選びました。いずれも情趣豊かな作品ですので、以前、伊熊さん・木原さんのグループ展で使っていた題名をお借りしました。
「エモい書作品展」です。全体はこのような感じです。





2年生 高橋瑞歩さん


3年生 安藤誉人さん


4年生 佐川翔子さん


(左から) 2年生の祖月輪音々さん、2年生の寺澤歩花さん。


4年生の伊熊麗奈さん


3年生の寒田祐奈さん


3年生 徳丸優花さん


展示は、12月19日まで。県庁・県議会に用事でお出かけの方は、ぜひお近くでご覧ください。



四国大学書道文化学会2020秋季講演会

2020年11月30日 | 日記
11月29日(日)、標記がR館101教室で開かれました。例年は駅前の交流プラザで開かれていましたが、今年はコロナ禍の影響で、外部の方は参加せずに、学内のみの参加でした。プログラムは下記の通りでした。

12:30   受付
13:00   開会の辞
会長挨拶
13:10   総会 ・役員紹介・活動報告・会計報告・会計監査報告
・行事計画・予算案・『書道文化』第17号発行について
13:25   講演1(ズームによる開催)  
    「無汸庵 綿貫宏介 ー 絵画と文字の新たなる邂逅」
               無汸庵 研究員 豊田有里先生
14:25   休憩
14:30   講演2
  「文房四宝の裏側」 (有)田中文林堂 代表取締役 田中偉嗣 様
15:10   卒業生報告「陶と書に携わって」   
 第12期卒業 土佐伊野焼正寿窯・書道教室経営 濵田香代(賀蓉)様
15:40   活動報告  
   「留学体験報告」大学院文学研究科書道文化専攻2年 渡邊浩樹
16:00   閉会の辞


最初に東京都在住の豊田さんの講演をZoomで配信しました。学会としては初めての試みでした。音声がはっきり出ずに、多少聞きにくかったのですが、パワーポイントがわかりやすかったので。内容の多くは観客に通じていました。
綿貫宏介さんは神戸を代表するデザイナーです。


次は、地元の書道用品店の社長である田中さんに、文房四宝の生産や流通・販売を巡る話をお聞きしました。


次は、四国大学書道コースの卒業生で、現在は高知県で陶芸塾と書道塾を経営されている濱田さんに、お仕事の様子をお聞きしました。


最後は大学院生の渡邊浩樹君です。中国の浙江大学留学を報告してもらいました。


自分が留学中に作った4首の漢詩を紹介してくれました。それを作った状況をユーモアたっぷりに説明し、会場は笑いの渦に包まれました。彼は留学を通して様々な体験をしたようで、自信もつき大きな成長を見せています。コロナ禍で、実際の留学は予定の半分以下しかできなかったのですが、それでも今後の人生に資する大きな効果を得たことがわかりました。

総会を除いては、約2時間半で様々な観点からの話をお聞き出来て、有意義な時間でした。授業以外の講師のお話も、学生には良い勉強の機会です。





幕末讃岐の種痘医 神内喬木文集

2020年11月29日 | 日記
標記の本を出版しました。本来は今年の3月末にいったんは完成していたのですが、コロナ禍のために増刷が進まず、ようやく印刷・製本が完了したのです。書き始めてから6年半かかりました。

香川県三木町にある鰐河神社の管理をされている神内國榮さんの依頼によって、そのお宅の先祖である漢方医 神内捨蔵(号は喬木・きょうぼく)が遺した70頁あまりの漢文の遺稿集と、神内家に伝わる書、関連の方々の石碑文などの訳注です。



神内喬木の詳細はこんな方です。肖像画や写真は残っておりません。


次男の由己(ゆうき)は、明治維新後に東大医学部に入り、香川県で初の医学士となった人物です。大阪医学校教頭や、大阪府立病院長、熱海浴場医長(肺結核の療養施設長)として活躍し、順天堂の佐藤泰然の孫娘(林洞海の娘)を娶り、当時の日本西洋医学の中枢の方と姻戚になりました。残念ながら結核で29歳で早世しました。


喬木は、幕末に讃岐で種痘を普及した名医の一人です。天然痘が解決していなかった当時、牛痘を人間の腕に植える種痘術は1849~50年に一気に普及していきますが、日本人には「四つ足の動物の膿を植えると角が生える」と言われて、なかなか抵抗も大きかったようです。苦労して多くの人を説得している様子も書かれています。また天然痘が解決したあとは、コレラとの闘いに苦しみました。現代のコロナ禍を乗り越えるよりももっとたいへんな状況が過去にあったことがわかります。

また、さぬき市昭和にある「から風呂」(和風サウナ)の治療効果も述べられています。


神内由己に最初に医学を指導したのは高松藩校の講道館で洋学を教えていた医師の柏原謙好・謙益親子や、後に徳川家の侍医となる柏原学而です。彼らの墓碑の現代語訳なども掲載しています。


神内家には、現在も当時の文人たちの書画がたくさん残されています。喬木に漢文を指導したのは高松藩儒の片山冲堂でしたが、彼の書作品も残されています。


神内喬木の長男の堅爾は最初に医師を目指しますが、英語やドイツ語、難しい西洋医学の勉強に挫折し、西南戦争や台湾戦役の兵役を経て、三木町の鰐河神社、長尾名の宇佐神社の神官として活躍し、そのお孫さんが國榮さんにあたります。



主として、四国大学や香川県の図書館に寄贈し、読んでいただいています。

B5判 全370頁 定価3,000円 送料370円です。

関心のある方は、下記のアドレスまでメールでお知らせください。
神内さんと私の共同自費出版で、本屋やネットでは販売しておりません。出版部数も僅か300部と少なく、資料提供の機関や個人への寄贈も必要なので、実際にお譲りできる部数は少なく、将来は稀少本になると思われます。






高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク大阪大会2020看板

2020年11月29日 | 日記
11月28日(日)、標記の会が開かれ、私は参加できませんでしたが、看板を書かせていただき、それによって大会に関わらせていただきました。
この団体は、全国の高校・大学で韓国語・朝鮮語を教えている先生方の研究団体で、私も20年ほど前から参加させていただいています。会員数は100名ほどおられます。年に一度、東京や大阪で全国大会が実施されます。長野県で高校の教員をしている時はよくこの大会にも参加していたのですが、大学で書道を中心に教えるようになってからは多忙になり、薄い関わりになっています。
大会が終わって、写真を送っていただきましたので、掲載させていただきます。今年は大阪の会場の前と後ろに一枚ずつ貼って、Zoomでも開催したそうです。例年は1枚のみですが、今年は2枚制作し、事前に送りました。

タイトルは篆書と隷書を混合した「破体書」です。通常の書道作品であれば、字典を調べて、同じ時代の篆書体でそろえるわけですが、全部を篆書にしてしまうと、一般の方が読めない場合が出てきますので、敢えてあまり字典は調べずに創作の形にしています。漢の時代の鏡やレンガのデザインにこれに近いものがあるので、参考にしています。

その下にはハングル版本体で韓国語のタイトルを合わせてあります。日付と場所は隷書、後援は楷書を使用しています。

ハングルは、漢字の篆書体の影響も受けていますので、近くに置くとすれば、篆書体が最も親和性が高いのです。

タイトルの下の行書と波の絵は他の方が書いて下さいました。ハングルを多少変形して、絵画的に表現しています。韓国ではこのような表現も実際に楽しまれています。



一種の「デザイン書道」ですが、必要な情報はきちんと伝える必要もありますから、わかりやすいと同時に、活字にはない面白さを感じていただき、会の雰囲気が和むことを目指しています。

これは、多少なりともネットワークに関わると同時に、他の分野の方々にも、書道に関心を持っていただくためにしている仕事の一つでもあります。ここ10年間ほど、毎年のように依頼を頂いており、ありがたいことだと思います。

書道が生き残るためには、展覧会だけでなく、このような実生活に使われることに積極的に関わることが必要だと考えています。

最近は、日本でもK-popや韓国ドラマが人気で、町にもハングルがけっこう使われるようになりました。ハングルにも「ハングル書芸」がありますので、関心のある方は挑戦してみてください。