ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

宍喰中学校での教育実習の参観

2014年06月12日 | インポート

Sisikui16月12日(木)、午後すぐに大学を出て、約2時間かけて徳島県海部郡海陽町の宍喰中学校に行きました。

ここで今、ゼミ学生の長岡亜衣梨さんが教育実習をしています。ここが母校だからです。毎年この時期には、各地で行われている教育実習校に、大学の教員が分担してご挨拶にいくことになっています。

校長先生と少しお話した後に15分程度の授業参観をしました。1年生
の国語の授業でした。

Sisikui2詩の授業の一環で、表現技法に関する指導をしていました。

生徒は1クラスだけで、生徒数は20名弱、ここは小規模校で、とても落ち着いた雰囲気でした。

生徒も集中して、発言も適度にするし、先生の問いにも真剣に答えます。長岡さんもリラックスした雰囲気で、授業を進めていました。自分の実家の近所の家の見知った子供たちだということです。時折、アニメの話なども織り交ぜながら、和気あいあいという感じでした。

授業途中に、教室のすぐ近くで鶯が何度か大きな声で鳴きました、本当に素晴らしい自然環境の学校です。

ここは、南海地震の際の津波の危険がある地域ですので、校内には、津波の際の避難に関する注意書きがたくさん貼られていました。でも、教育がしっかり行き届いた学校ですので、もし万が一の危険の際にも避難もスムーズにできそうです。

授業途中で長岡さんに目礼をして帰りました。国語の担当の先生とも話しましたが、いつも元気いっぱいで、明るく過ごしているそうですので、安心して、学校を後にしました。

彼女の実習は20日まで。あと一週間です。学生たちは少しずつ壁を乗り越えて、たくましくなっていくように思います。

帰宅後に、改めて宍喰について歴史を調べてみたら、かなり面白いことに気づきました。古代には大和政権から皇族の鷲住王がここに派遣されて支配し、鎌倉時代から「海部刀」と言われる優れた日本刀の生産が始まり、それによって宋や高麗との交易を行うほどになり、また大阪夏の陣で蜂須賀軍の侍たちがこの刀を使って大活躍したことから、以後、全国的に大人気となったそうです

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%8D%E5%96%B0%E7%94%BA

「海部郡」の名前のとおり、ここも昔から「海人族」の住んだ地域だったことがわかります。「宍喰」(ししくい)の地名は元は「葦食」(あしくい)・・・「葦の仲間の植物である稲を食べる住民」から起きた名で、つまりは、初期稲作地帯であることを示しています。大元は、縄文時代末期に大陸から船で稲作技術を持って渡ってきた民族の末裔ということになるでしょう。そのころはまだ稲を食べる人がほとんどいなかったからこそ、この地名が残ったわけです。優良な食物生産技術を持つ先進地域だったからこそ、大和政権はわざわざ皇族を派遣して支配する必要があったのでしょう。住民たちは本質的に国際的・先進的な感覚を持っていた人々です。プロゴルファーの尾崎三兄弟もこの町の出身なのですね。

長岡さんにもそのような地域の歴史の影響は、確実に受け継がれているように思います。

往復の道路沿いの海の景色は本当に美しかったです。


卒業生の活躍

2014年06月08日 | インポート

Awakakejiku16月7日(土)、夕方に徳島のワシントンホテル で開かれた企業の経営計画発表会に招かれて参加しました。会場には社員の皆さんと、材料を提供している問屋さんや銀行の代表者が呼ばれていました。

この企業は徳島市川内町にある有限会社「阿波掛軸堂」です。社長さんは越智憲一郎氏で、熱意あふれる実業家です。

小規模ながら、鋭い経営戦略によって伸びている注目企業で、書道文化学科の卒業生が2人採用されて現在活躍し、その様子を紹介して下さるためにご招待いただいたのです。それは就職3年目の日野出 夏穂さん、2年目の岡 加奈枝さんです。岡さんは、一昨年の夏に「ようこそ阿波踊り」という横断幕を書いたゼミ学生です。

最初の1時間は、仕事内容や業績の推移などをパワーポイントで示して、まさしく経営方針のお話でした。一般企業が、売り上げの数字を分析しながら、細かい戦略を立てながら努力されていることがよくわかりました。また、2人の書いた写経や箱書き、系図などの書は、商品の一部として高額で販売されたり、営業のためにしっかり活用されている様子が写真入りで説明されました。

Awakakejiku2 説明会の終了後は、懇親会でした。その中で卒業生2名は、揮毫パフォーマンスを行ないました。参加者のご希望の言葉を、その場で特注の和ろうそく2本セットに筆で書き入れるというものです。

参加者は企業名や、自分の名前を注文して、たいへん喜んでおられました。私も、「四国大学」「書道文化学科」と書き入れてもらいました。

現在は学生にも、徳島県の様々なイベントでこれに近いことはさせていますが、実際に企業でもこのような形で活用していただいているのは初めて見たので、ちょっと意外でした。

日本社会に、きちんと筆の使える人間が減少していて、本学の卒業生の活躍場所が「実用」の世界でこそ増えていることがよくわかりました。学校で教えているだけではこのことはわからないものです。経済の現場で戦っている方たちのお話を聞くことはたいへん勉強になりますし、書道の価値を改めて実感しました。

卒業生の書道の技術が企業戦略の中心に置かれ、活躍の場を与えられて大切に育てて頂いていることに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。これからも活躍と発展を期待しています。


公園の植物

2014年06月03日 | インポート

Ajisai6月3日(火)、梅雨が近づいて、蒸し暑くがなってきましたので、毎朝の公園の散歩が、一日の最もさわやかなひと時になってきました。

植物の成長というのは、日々すごい勢いで進んでいくので、毎朝公園の景色が変わっていきます。

Biwa陽花が色づき始めました。ここはアルカリ性土壌のようで、青い色が見事に出ています。

琵琶の実も熟し始めました。青空を背景にするとこの黄色が映えます。

私の故郷には琵琶はあまり育たなかったので、この実はよけいに美しく感じます。実はもちろん美味しいのですが、琵琶の葉に薬効があって、お茶にしたりお風呂に入れると良いそうです。

Karamushi最後に紹介するのが「カラムシ」です。 一見、シソのように見える植物ですが、特に芳香はありません。

全国どこにでも生えている多年草の雑草です。

しかし、この植物は古代人の生活にとっては重要な植物でした。この茎の表皮の繊維が、上質の衣料になるのです。

麻に似て軽くさらっとしているので、夏服にはぴったりです。現在でも福島県では栽培され、「からむし織」は商品化されています。

http://www.showa-karamushi.com/karamushi/

韓国の民族衣装の原料としても重要で、漢名は「苧麻」といいます。「カラ」を冠しているので、かつて大陸から渡ってきた植物なのかもしれません。

大学院生の時に紙の授業でこの繊維を使った紙を漉いたことがありますが、とても上品な色の紙ができました。刈ってもすぐに再生し、次の年にはまた同じ根から出てくる丈夫な植物ですので、産業素材としては有望だと思います。