12月23日に“海賊と呼ばれた男”を見てきました。
これは、2013年に本屋大賞を取った百田尚樹の長編小説を映画化したものです。
モデルは出光興産の創業者、出光佐三氏だそうです。あらすじは、ほぼ史実に基づいているようで、この人の半生を描いています。主人公の半生といっても、これがすごい。
日本の歴史がわかるのです。なぜ日本は戦争の道に進んだのか、エネルギーを求めて歩んできた日本の辛い道のりが痛いほどわかります。そして、戦後もまたどうしたのかです。
私は、この小説が、映画化されるのを待ち望んでいました。
出光佐三氏がモデルとなった主人公は国岡鐡造という名前になっています。この役をやったのは岡田准一でした。彼は「永遠の0」(これも百田尚樹の小説)も主演しています。
映画を実際に見るまでは、国岡鐡造の一生を演じるには36歳の岡田准一では若すぎるのではないかと思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。若いころから95歳で亡くなるまでを見事に演じていました。メイクも自然で本当の年寄りのようでした。
最初の妻役の綾瀬はるかもかわいかったです。部下役の吉岡秀隆等や他の脇役もよかったです。国岡が若い時に、多額の融資をしてくれた近藤正臣も適役でした。
若い頃から、すごい行動力の国岡でしたが、60歳も過ぎた年齢になっても、究極の選択をしました。危険を冒して、日章丸をアバダンに赴かせました。石油をタンカーに積んで戻ってきたときは、感動でした。行かせるときの覚悟は、もし乗組員が戻って来なかったら店主(国岡)は死ぬつもりであるというのがひしひしと伝わりました。いつも社員と心を一つにしていた経営者であり、その信頼関係はすごいものでした。
小説を読んでいて、石油タンクの「底をさらう」という意味がよくわかりませんでした。今のような石油コンビナートの地上に置いてあるタンクの中に入ったのかと思っていたら、地面の中にあり、ドロドロの真っ黒な石油でした。
どんな状況で、社員がそれをさらったのか、映画で見て初めてわかりました。
日本に石油をもたらすためには、軍も他の会社も誰もが嫌がってやらないことを、実行した会社。
日章丸が無事戻ってきて安堵した後、「国岡のもんよ~、油持ってきたけえ」と店主、国岡(岡田)と部下、東雲(吉岡)たちが言って笑った場面が、私は一番好きです。
昔、海の上で油を売っていたときの言葉。エネルギー・動力となる油を売る仕事は、世界規模になっても同じ。頼もしい。
それにしても、石油をとりまく歴史については、本を読んでも映画を見ても、なかなか難しいものがあります。複雑な利害関係や、権利の取りあいや、勢力争いやら、私にはまだよくわかりません。
石油を求めて戦争になり、石油が無くて戦争に負けた。
「永遠の0」もそうだった。
百田尚樹という原作者の日頃の言動は、過激すぎると言われていますが、この人の目や分析力はすごいと思います。
日本は、今もエネルギー問題は深刻です。
出光興産は今は世界に油田の権利や鉱山なども持っているようですが、外資系の昭和シェルと経営統合をするかしないかでもめているそうです。
創始者系統の株主は、外資系と手を組むのは反対だそうです。昔から一匹狼のようにして信念を貫いて歩んできた会社です。しかし、もはや過去の方針を固持するような時代ではないとも言われています。
映画では、別に出光興産が映画を作ったわけでもなく、会社のCMをしているわけでもありません。出光佐三氏についての資料は提供したようです。
しかし、この映画が、実在の人物を題材にして、実際の会社を描いているわけなので、実際の歴史や現在のことにも関心を持ちます。
原作を読んでいないと映画ではわかりにくい部分もあるかもしれません。
また、史実がわからないとわかりにくい部分もあります。
映画だけを見ても、充分に見ごたえのある作品ですが、奥が深く、視野も広げなくてはならない世界です。
もう一度原作を読んでみようかという気にもなりました。
いい映画でした。
関連する過去記事:
「海賊と呼ばれた男のキャスト」
これは、2013年に本屋大賞を取った百田尚樹の長編小説を映画化したものです。
モデルは出光興産の創業者、出光佐三氏だそうです。あらすじは、ほぼ史実に基づいているようで、この人の半生を描いています。主人公の半生といっても、これがすごい。
日本の歴史がわかるのです。なぜ日本は戦争の道に進んだのか、エネルギーを求めて歩んできた日本の辛い道のりが痛いほどわかります。そして、戦後もまたどうしたのかです。
私は、この小説が、映画化されるのを待ち望んでいました。
出光佐三氏がモデルとなった主人公は国岡鐡造という名前になっています。この役をやったのは岡田准一でした。彼は「永遠の0」(これも百田尚樹の小説)も主演しています。
映画を実際に見るまでは、国岡鐡造の一生を演じるには36歳の岡田准一では若すぎるのではないかと思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。若いころから95歳で亡くなるまでを見事に演じていました。メイクも自然で本当の年寄りのようでした。
最初の妻役の綾瀬はるかもかわいかったです。部下役の吉岡秀隆等や他の脇役もよかったです。国岡が若い時に、多額の融資をしてくれた近藤正臣も適役でした。
若い頃から、すごい行動力の国岡でしたが、60歳も過ぎた年齢になっても、究極の選択をしました。危険を冒して、日章丸をアバダンに赴かせました。石油をタンカーに積んで戻ってきたときは、感動でした。行かせるときの覚悟は、もし乗組員が戻って来なかったら店主(国岡)は死ぬつもりであるというのがひしひしと伝わりました。いつも社員と心を一つにしていた経営者であり、その信頼関係はすごいものでした。
小説を読んでいて、石油タンクの「底をさらう」という意味がよくわかりませんでした。今のような石油コンビナートの地上に置いてあるタンクの中に入ったのかと思っていたら、地面の中にあり、ドロドロの真っ黒な石油でした。
どんな状況で、社員がそれをさらったのか、映画で見て初めてわかりました。
日本に石油をもたらすためには、軍も他の会社も誰もが嫌がってやらないことを、実行した会社。
日章丸が無事戻ってきて安堵した後、「国岡のもんよ~、油持ってきたけえ」と店主、国岡(岡田)と部下、東雲(吉岡)たちが言って笑った場面が、私は一番好きです。
昔、海の上で油を売っていたときの言葉。エネルギー・動力となる油を売る仕事は、世界規模になっても同じ。頼もしい。
それにしても、石油をとりまく歴史については、本を読んでも映画を見ても、なかなか難しいものがあります。複雑な利害関係や、権利の取りあいや、勢力争いやら、私にはまだよくわかりません。
石油を求めて戦争になり、石油が無くて戦争に負けた。
「永遠の0」もそうだった。
百田尚樹という原作者の日頃の言動は、過激すぎると言われていますが、この人の目や分析力はすごいと思います。
日本は、今もエネルギー問題は深刻です。
出光興産は今は世界に油田の権利や鉱山なども持っているようですが、外資系の昭和シェルと経営統合をするかしないかでもめているそうです。
創始者系統の株主は、外資系と手を組むのは反対だそうです。昔から一匹狼のようにして信念を貫いて歩んできた会社です。しかし、もはや過去の方針を固持するような時代ではないとも言われています。
映画では、別に出光興産が映画を作ったわけでもなく、会社のCMをしているわけでもありません。出光佐三氏についての資料は提供したようです。
しかし、この映画が、実在の人物を題材にして、実際の会社を描いているわけなので、実際の歴史や現在のことにも関心を持ちます。
原作を読んでいないと映画ではわかりにくい部分もあるかもしれません。
また、史実がわからないとわかりにくい部分もあります。
映画だけを見ても、充分に見ごたえのある作品ですが、奥が深く、視野も広げなくてはならない世界です。
もう一度原作を読んでみようかという気にもなりました。
いい映画でした。
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