1964年
延長にはいった十回、中日は宮田に二死後、河村が左前安打を浴びせたあと、高木守、中の連安打でサヨナラ勝ちを収めた。試合は宮田ー河村の息づまる投手戦が続いた。宮田は外角のスライダーと、内角ギリギリいっぱいのストレートのコースがよかった。河村はストレートに伸びがあるので勝負どころで使う落ちるタマが効果的だった。二回、互いに1点ずつとった。巨人は森の中前安打と広岡、須藤の連打によるものだが、会心の当たりは内角直球をたたいた森だけで、広岡の打球はアスプロのスタートがおくれてその右をゴロで抜き、須藤はバットが折れた中前打だった。一方、中日も真ん中の低めからさらに落ちるシンカーを、右翼にたたき込んだマーシャルの一発だけだった。宮田は三回にも中に、シンカーを痛烈な一直されたように、左打者へ落ちるタマに威力がなかったことはいなめない。しかし四回から左打者には外角球で勝負する投法にすぐかえた。そして、この均衡は容易に破れず、延長にはいった。巨人は三回以後、九回王が三塁前にバント安打するまで無安打が続いた。それでもチャンスがなかったわけではない。しかし、五回一死後四球に出た柴田がみずからの足におぼれて大きくリードを奪い、再三にわたる投手けん制の末に刺されたのは痛かったし、六回無死四球の長島を置いて、王の左中間痛打が江藤の攻守にはばまれたのは惜しい。しかも、このとき一塁走者長島が二塁を越えながら、二塁を踏まずに一塁に帰って併殺されるボーンヘッドが重なった。しかし、巨人はよく守った。五、六回に再度二盗を刺した森の好送球をはじめ、七回無死一塁の二ゴロを須藤が判断よく、まず一塁に送球してから併殺したプレー。また八回、小川敏の右中間を破るかにみえた難飛球を好捕した柴田の超美技など、中日の追加点をがっちりとはばんだ。しかし、先発三度目の宮田はスタミナ不足で、試合後半から回を追って球威が落ち、なんとか気力で持ちこたえていたが、十回。刀折れ矢尽きた感じであった。
延長にはいった十回、中日は宮田に二死後、河村が左前安打を浴びせたあと、高木守、中の連安打でサヨナラ勝ちを収めた。試合は宮田ー河村の息づまる投手戦が続いた。宮田は外角のスライダーと、内角ギリギリいっぱいのストレートのコースがよかった。河村はストレートに伸びがあるので勝負どころで使う落ちるタマが効果的だった。二回、互いに1点ずつとった。巨人は森の中前安打と広岡、須藤の連打によるものだが、会心の当たりは内角直球をたたいた森だけで、広岡の打球はアスプロのスタートがおくれてその右をゴロで抜き、須藤はバットが折れた中前打だった。一方、中日も真ん中の低めからさらに落ちるシンカーを、右翼にたたき込んだマーシャルの一発だけだった。宮田は三回にも中に、シンカーを痛烈な一直されたように、左打者へ落ちるタマに威力がなかったことはいなめない。しかし四回から左打者には外角球で勝負する投法にすぐかえた。そして、この均衡は容易に破れず、延長にはいった。巨人は三回以後、九回王が三塁前にバント安打するまで無安打が続いた。それでもチャンスがなかったわけではない。しかし、五回一死後四球に出た柴田がみずからの足におぼれて大きくリードを奪い、再三にわたる投手けん制の末に刺されたのは痛かったし、六回無死四球の長島を置いて、王の左中間痛打が江藤の攻守にはばまれたのは惜しい。しかも、このとき一塁走者長島が二塁を越えながら、二塁を踏まずに一塁に帰って併殺されるボーンヘッドが重なった。しかし、巨人はよく守った。五、六回に再度二盗を刺した森の好送球をはじめ、七回無死一塁の二ゴロを須藤が判断よく、まず一塁に送球してから併殺したプレー。また八回、小川敏の右中間を破るかにみえた難飛球を好捕した柴田の超美技など、中日の追加点をがっちりとはばんだ。しかし、先発三度目の宮田はスタミナ不足で、試合後半から回を追って球威が落ち、なんとか気力で持ちこたえていたが、十回。刀折れ矢尽きた感じであった。