プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

谷村智啓

2017-07-28 21:47:58 | 日記
1973年

谷村は三月四日、姫路での対阪急戦に二回投げてこの日は二度目の登板であった。姫路のときはただドロンと曲がるカーブだけで別に昨年より進歩したあとは見られなかった。右足首のねんざで安芸キャンプにも参加できず、調整が遅れていたから無理じゃなかった。それから五日後のきょうは、谷村がこんなピッチングができるのかと思うくらいすばらしい出来であった。すばらしいといってもすごく球威があったというのでなく、外角低めぎりぎりを突くストレートと大きく曲がるカーブ、すこし変化するスライダーを主としたピッチングで、そのタマの低めへのコントロールが非常によかったということである。打者が打ち気だと見ればときおりフォークボールで誘いをかけたり、追い込んでからもそれを使っていた。まだフォークボールは覚えたてであるが、これで今シーズンの武器としてあるていどは自信をもって投げられるようになるだろう。昨年の谷村はフラメンコ投法とかいって、バックスイングのときに必要以上に上体をくねらせていた。この投げ方がムダな力を使うことをさとったらしく、ことしはフォームが昨年よりずっとスムーズになった。それだけ腕の振りもシャープになってきている。ゆっくり足をあげて腰をため、そして最後はさっと腕に振り切っているので打者もいく分タイミングが遅れるようであった。とにかく投手は球威も必要だが、いかにコントロールが大切かということをみせつけてくれたようなこの日の谷村であった。柿本コーチはことし谷村を逃げ切り用に仕立てるハラだったらしい。しかし、故障などあってその計算も狂いかけていたのである。この日は上田の先発を予定していたのだが、上田が家庭の事情(父親の危篤)で谷村に切り替えた。ところが、その谷村が思いもよらぬ好投をして、新人の山本和、三年目の上田がまだ使えるメドがたたない今、この谷村をあるいは先発グループに回す気持ちになったのではないか。大学、ノンプロでキャリアもあるから、きょうの好投がいいきっかけになるかもしれない。私はそんな気がする。
コメント
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