1984年
ロッテが1位指名した佐波農・笠原栄一投手(18)=185㌢、74㌔、右投右打=の入団が二十一日、内定した。三宅スカウト部長、得津スカウトは同日、群馬・伊勢崎市の佐波農を訪れ、指名のあいさつをしたのち、市内田中町の笠原家で第一回目の入団交渉を行った。父親・昭義さん(48)、母親・睦子さん(45)が同席し、約一時間の話し合いで笠原は入団を快諾、次回交渉(26日)で仮契約することになった。荒馬と評判をとったピッチングから想像もつかない、185㌢もある大きな体を縮めて細々とロッテ笠原の第一声だ。「ピッチャーだし、すぐに一軍というわけには…。一年くらいは二軍で頑張るつもり…」将来のエースにしては少々物足りない気がしないでもないが、佐波農の大須賀監督が言う。「冬の練習は半分近く欠席するし、目を離したらすぐさぼる。これまで指導らしい指導は何もしていないので、野球を一から教えてやってほしい」とロッテ側に頼み込んだ。素材だけでノーヒットノーランを三回記録。バレーのボールさえ包み込んでしまいそうな21.5㌢もある手のひらを見て、三宅スカウト部長はその期待を「プロでちゃんと鍛えたら、どんなすごい投手になるやら恐ろしいくらい」と表現した。おとなしかった笠原が初めて生き生きとした表情を見せたのは、あこがれ神様・稲尾の名を聞いたときだ。「フォークを覚えて、ピッチングのかけひきを教わりたい」。稲尾監督もまた「ヒジの柔らかさ、球の速さ、それに江本(元阪神)のように、球の出どころがわかりにくいという好投手の条件を備えている」と対面を心待ちにしている。
ロッテが1位指名した佐波農・笠原栄一投手(18)=185㌢、74㌔、右投右打=の入団が二十一日、内定した。三宅スカウト部長、得津スカウトは同日、群馬・伊勢崎市の佐波農を訪れ、指名のあいさつをしたのち、市内田中町の笠原家で第一回目の入団交渉を行った。父親・昭義さん(48)、母親・睦子さん(45)が同席し、約一時間の話し合いで笠原は入団を快諾、次回交渉(26日)で仮契約することになった。荒馬と評判をとったピッチングから想像もつかない、185㌢もある大きな体を縮めて細々とロッテ笠原の第一声だ。「ピッチャーだし、すぐに一軍というわけには…。一年くらいは二軍で頑張るつもり…」将来のエースにしては少々物足りない気がしないでもないが、佐波農の大須賀監督が言う。「冬の練習は半分近く欠席するし、目を離したらすぐさぼる。これまで指導らしい指導は何もしていないので、野球を一から教えてやってほしい」とロッテ側に頼み込んだ。素材だけでノーヒットノーランを三回記録。バレーのボールさえ包み込んでしまいそうな21.5㌢もある手のひらを見て、三宅スカウト部長はその期待を「プロでちゃんと鍛えたら、どんなすごい投手になるやら恐ろしいくらい」と表現した。おとなしかった笠原が初めて生き生きとした表情を見せたのは、あこがれ神様・稲尾の名を聞いたときだ。「フォークを覚えて、ピッチングのかけひきを教わりたい」。稲尾監督もまた「ヒジの柔らかさ、球の速さ、それに江本(元阪神)のように、球の出どころがわかりにくいという好投手の条件を備えている」と対面を心待ちにしている。