プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

森安敏明・牧憲二郎

2022-04-04 13:30:04 | 日記
1966年
さる十七日、森安は強打が売り物の大洋を完封した。その試合後、東映西村ヘッドコーチに問いかけられた。「どうや、牧とどっちがいい」と。甲乙つけがたい。即座の返答につまったが「森安はどちらかといえば打たせてとる投手のように思える。牧のほうが力でおさえ込む感じで、いかにも投手らしい投手のようだ」と答えた。この試合での森安はそれほどスピードはなかった。カーブももうひとつひねりがきいておらず、内角へはずれたのが多かった。その点を指摘すると安藤コーチが「いや、スピードはもっと出る。岡山での対阪神戦なんかすごく早かった」とむきになった。森安を大いに売り出したい気持ち、牧、それに南海にたいするライバル意識がそういわせたのだろう。東映の投手陣はエース尾崎が故障中、土橋も完全に復調していない。また久保田と入れ替わった伊藤もどうれだけ働けるか見通しがつかない。そんな事情だけに森安にかける期待はなみなみでないわけだ。南海もスタンカ、杉浦が投手陣から抜け、林は故障、期待の村上は打たれる…で、前途多難を思わせている。お先真っ暗の中で牧がひと筋の先明となっている状態だ。両チームにとっては森安、牧のどちらが新人王になるか、などより彼らがチームにたいしてどれだけ貢献してくれるかが大問題なのである。新人にチームの興廃をかけるといえば、いささかオーバーだが彼らの働きいかんが、ペナントレースを有利に展開するカギとなっていることは確かだ。両者を比較検討してみよう。
球歴 ともに高校出。高鍋高の牧は春夏の甲子園大会に出場、昨夏は準決勝まで進出した。岡山関西高の森安は甲子園のひのき舞台こそ踏んでいないが予選で21三振奪取の記録をつくった。
体格:牧=178㌢、76㌔、肩幅広く、胸板も厚い、下半身に比べ上半身が発達している感じ。森安=179㌢、81㌔、均整がとれている。牧より筋肉が柔らかそう。
投法:牧=巨人の藤田コーチの現役時代そっくり。純粋の上手投げ。森安=横手投げ、無理のないなめらかなフォーム。
球威:牧=直球はいわゆる重い感じ。カーブは上手から投げるのでドロップになる。大きく曲がり落ちる。シュートの鋭い。森安=速球が武器だが、球質は軽いほう、現段階ではカーブの制球力がいまだし。フォークボールがいい。
プレート度胸:どちらも強心臓で、高校を出たばかりと思えない。
ナインの信頼度:投球に安定感があるせいか、ともにベテラン投手と同じほど信頼されている。
オープン戦での成績:牧=5試合に登板、うち先発3、救援2、投球回数24、被安打18、奪三振11、与四球8、自責点6、防御率2.50。森安=4試合(救援1、先発3、うち完投1)22イニングス投げ、13安打、14三振、9四球、自責点6で防御率2.73。このように、優劣をつけるのはむずかしい。評論家たちの意見を聞いて回った。いずれもまず「うーん」とうなる。その結論をまとめると「牧のフォームには打者の心理を圧するなにかがある。球威も全般的には森安以上。ただ森安の内角高めでナチュラルシュートにするタマは牧にない。ともに新人らしからぬ度胸のいいピッチングをするが、まかり間違えば一発ぶち込まれる危険性もある。セットポジションにはっての投球は、牧が高校時代ノーワインドアップで通してきたので、その意味でのなれが残っている。森安の場合はちょっと球威が落ちる」で、ほんのわずかだが牧に歩を認めている。新人投手だから打者のクセはわからない。彼らの力を引き出し、活用するのは捕手の役目だ。その点、東映の種茂、鈴木に比べ、南海にはリーグ一の名捕手野村がいる。勝ち星をどれだけあげられるかは多分に打線の援護力に左右される。南海と東映の打力を比較すれば、機動性、長打力でやや南海が上回るようだ。この二点で牧有利のケが出るが、牧には森安以外にも高校時代いらいのライバルがいる。東京の木樽である。ヒジを痛めてまだオープン戦には登場していないが、二十九日の大洋戦には登板するそうだ。甲子園で牧に投げ勝った木樽がプロでもまた投げ勝てるかどうか。新人王争いはことしのパ・リーグの見どころの一つとなることだろう。

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滝村修平

2022-04-04 12:55:17 | 日記
1961年
門前監督が秘密兵器とひそかに期待をかけているのがこの滝村である。昨年、当時の二軍監督だった門前コーチのアドバイスで上手投げから下手投げにフォームを変えたところ、メキメキ球威がついてきた。とくに勝負根性のある点も首脳陣に買われている点である。ことしは何とかして公式戦のマウンドを踏みたい。ぼく自身としても、ことしは勝負の年と決めているんですと野心を燃やしている。昨年一時肩を痛めたんですが、そのとき横から投げてみたら楽に投げられたんです。コーチの人からもフォームを変えてみたらと言われたので、思い切って下手投げでいくことにしたんですよ。そのほうがコントロールもいいような気がしました。だから昨年ウエスタン・リーグの後半では、ほとんど打たれていませんよ紅白戦では、まだコントロールは十分とまではいかなかったが、重い速球をビシビシ決めていた。同型の弘瀬を脅かすまでに成長してきた。コントロールといっても、まだ思ったところへ全部いくまでになっていません。だから目下の目標はスポット・コントロールと言いますか、細かな制球力を身につけようとがんばっているんです。前は上から投げていたのでドロップがあったんですが、今はシュートが武器でしょうね。内角の場合は必ずといってよいほどシュートするんです。だから落ちるシュートを完全にマスターして、外角へのスライダーとまぜれば、いけるんじゃないかと思っているんです。もっともスピードをつけることはもちろんのことで、逃げるピッチングはやりたくないですからねと落ち着いた口調の中にも激しいファイトをのぞかせていた。


藤村コーチの話 もうほとんど出来上がっている。何よりもよいことは根性がしっかりしていることで、あとは本当のコントロールを身につけることだ。そうすれば十分一線でつかえる投手になるだろう。

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拝藤宣雄

2022-04-04 12:43:46 | 日記
1961年
ことしは一つ思い切ったピッチングをやろうと思っているんです。もうぼくも三年めだし、ぼやぼやしておられませんからね。昨年はみんなと一緒にピッチをあげてやったのですが、調子のいいときには他の投手もよくって出る幕がなく、出番がぼくに回って来た肝心なときに悪かったんですよ。ぼくみたいなピッチャーはローテーションの中心になっていくタイプと違いますから、調子を整えるのがむずかしいんです。だからことしはみなが一息つくときに調子を持っていきたいと思っているんですよ。入団した三十三年には101イニングス2/3を投げて6勝をかせぎ、翌三十四年には4勝2敗で1.64の防御率を残してかなりの働きをみせた。しかし昨年はわずかに2勝、防御率3.13と最低のでき。それだけに今シーズンは拝藤にとって剣ヶ峰ともいうべき大事なシーズンである。思い切ったピッチングといっても拝藤の場合は力のピッチングでなく頭のピッチングのことである。そのためにはピッチングの幅をもう一つ広げたいと思っているんです。カーブ、スライダーのコントロールには自信があるんですが、昨年はシュートがダメだった。だからことしは落ちるシュートを完全にマスターするつもりなんです。自分でもスピードはもう限界なのがよくわかっていますから。あとはコントロールと球質の変化それに打者の心理を読みとることしかないわけですよ。ことしは他の人たちが元気なので先発はほとんどないでしょうがぼくとしてはリリーフのほうが楽なんです。とにかく登板を命ぜられたときに最高の力を出せるようにしたい。これがぼくのネライなんですと自分の持ち味をはっきり見分けている。


門前監督の話 拝藤はコーナー・ワークが生命だ。だからこれをもう一段正確にすることそうすれば特徴のある投手だから登板のチャンスは十分ある。

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狩野芳明

2022-04-04 12:33:55 | 日記
1969年
エースは一年からマウンドを踏んでいる狩野。コーナーをつくカーブが得意で内角シュートを決めダマとする。試合経験が豊富なので打者とのかけ引きにはたけている。

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藤本勝利

2022-04-04 12:17:12 | 日記
1962年
とにかく恵まれたからだをしている。斎藤の1㍍83には及ばないが藤井、佐々木と同じく1㍍82の長身は投手団髄一の大男である。それにファイトもある。広島市民球場での残留組の練習ではひっきりなしにかけ声をかけている。藤村コーチも元気のよいやっちゃとたのもしげな目つきである。ピッチングフォームはまだぎこちないが、からだがあるだけに球威はかなりある。とくに低めにのびる速球にはみどころがある。カーブもかなり切れる。まだフォームが完成されていないため、ピッチングをしていてもすごいタマをほうるかと思うと、棒ダマになったりして安定感はないが、真っ向から投げおろすピッチングはなかなか迫力がある。上田コーチもいまは荒けずりの素材というところだが、うまく育てれば金の卵になるかもしれない。そのためにまず低めの速球を完全に自分のものにすることだ。受けていても、ときおりズシンと来るいいタマがあるから…と話している。まだまだ勉強することばかりです。でもぼくは野球が好きで好きでならないんです。ぼくから野球を除いたらなんにも残りません。オヤジからも決して弱音をはいたらいけないと言われていますからどんな苦しいことでもやり遂げるつもりですと堅い決意を述べている。走者が出たときのピッチングなど総合的なものでは同僚の西村には及ばないかもしれないが、球筋ではそんなに見劣りはしない。地道に一歩一歩努力を続けていけば本格派投手としての道も開けてこよう。

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氏家雅之

2022-04-04 11:07:35 | 日記
1970年


大府は氏家ー坂部のバッテリーがよく、氏家は樋江井に劣らぬほどのスピードの持ち主。
1㍍80の長身、上手投げの本格派で小山(ロッテ)にフォームが似ている。今春の愛知県予選準決勝で中京高に敗れたが、三振10個を奪った。球質が重く、全球団がマークしていた(山崎スカウト)


同投手の武器はストレートとカーブ。沢部長が創部以来の育ての親なら榊原武司校長(59)は現在県高野連顧問で県高校球界育ての親。「若いときいたずらに技巧に走らせると肩を痛めるだけだから、シュートなどは投げさせなかった。球質は重いし、これから伸びるものを持っていますよ」とすぐれた素質に太鼓判を押していた。身長1㍍80、体重70㌔、胸囲95㌢。沢部長と手のひらを広げて比べたら一関節も長い。「私も小さいほうじゃないんですかねエ」と沢部長。高校生離れしたがん丈な体格だ。「最近は、プロ野球も実力プラスもてる要素も大事なんでしょう。その意味では彼なら人気が出るでしょう」これは本人がいない席での沢部長の冗談だったが、なるほどとうなずけた。おとなしいが、さっぱりとして好感が持てる。プロ野球はことし夏季大会がすんでから中日球場で中日X阪神、中日X大洋の二試合をみただけだそうだ。阪神・村山投手のダイナミックな投法が魅力だという。「相手を恐れず、真っ向から勝負するのが好きですね。僕がプロで通用するなんてとても思えませんが、やるならあんなタイプになりたい。僕は内気で、甘えん坊といわれているけど、そうじゃないんですよ」このあたり、プロでやる気十分と取れたが、さすがにまだ高校生。すぐさま決断はつきかねるようす。「一応、進学希望で法政大学野球部のテストに参加していることにしていますし、今夜、ゆっくり両親と相談します」と語った。同投手のことし春から夏季予選までの戦績は24試合に登板、14勝9敗、防御率1・73。116と四球が多いが、奪三振も151と球威のあることを物語っている。


氏家投手が地元中日ドラゴンズの第一位指名を知ったのは、大府市大府町にある大府高の昼休み時間。「一位に指名されてびっくりしている。ぼくの力が過大評価されているのでは…」進学(法大)か就職(父親の通勤する新日鉄)かで迷い、プロに指名されてもまさかトップとは思ってもみなかった氏家である。「プロのレベルは高くて、ボクはあまり自信がないです。家へ帰って両親と相談しなければ」三振を取ってもヒットを打たれても決して顔に出さず、ものおじしない性格の氏家もこの日ばかりは顔を紅潮させていた。愛知商、瑞陵と往年の名選手を育ててきた榊原武司校長は「投手は素質。その点では氏家は抜群」といっている。野球は捕手以外全部やったという。「地元の中日は大好き。投手では村山さん(阪神)」とちょっぴりやる気をのぞかせていた。なおこの夜、中日の山崎スカウトは、同戦手宅を訪問「よろしく」とあいさつした。

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エルビラ

2022-04-04 10:45:36 | 日記
2000年
左腕が投じたこん身の130球目はストレート。清水を遊ゴロに打ち取った。送球が一塁手のミットに吸い込まれた瞬間、近鉄・エルビラは高々と両手を上げた。金森オーナーや、長男ホヘ君がスタンドで見守る前で、史上69人目の快挙。「ベリーベリーハッピー!」。陽気なメキシカンの声がはずんだ。変化球のキレが抜群だった。打者の手元で沈むスライダー、大きく弧を描くカーブ、打ち気をそらすチェンジアップ。魔術がかかったように球が変化した。連続四球の一回一死一、二塁のピンチで、松井を遊ゴロ併殺に仕留めたのもスライダー。内角を鋭くえぐる球に「うまかった」と松井は脱帽。これで流れをつかんだ。味方の好守にも支えられた。主砲中村が安打性の打球を再三の好捕。「最後は緊張した。優勝を決めるときは、こんな感じかな」と中村は興奮気味にまくしたてた。昨季、メキシカンリーグで2度の無安打無得点を演じた男も、腰痛や文化の壁に苦しんだ。先発で1勝もできず、ベンチの期待を裏切り続けた。が、この日は球場に来るときから、大記録の予感があった。昨年6月に無安打無得点を達成したときも、スタンドにホヘ君の姿があったからだ。

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