斬られ役

2001年05月25日 | テレビ

昨日のNHK9時15分からのにんげんドキュメント
「斬られ役・大部屋俳優58歳の心意気」を観た。
福本清三、58歳。
中学を出て親戚にすすめられ、
東映京都撮影所の大部屋俳優になって42年。
2年後、契約切れで定年になる。
東映京都撮影所大部屋俳優の今の仕事は、
テレビの時代劇が多いとか。
なにしろ映画の時代劇が少ない。
月に20万程度の給料と、
出演すれば1日9000円のギャラが出る。
斬られたあとにカメラに顔を向け、
大きなアクションで倒れる福本の斬られ方は、
業界では有名になっているという。
おれはちょっと臭いアクションだなと思うが、
あれぐらいが今のテレビ時代劇ではいいのかな。
その福本清三に大きな役が与えられた。
おそらく彼にとっては、
最後の映画となるだろうとナレーションはいっていた。
「赤影」というのがその映画だ。
これは昔テレビでやっていた。
悪い家老の腕の立つ腹心という役だ。
大部屋俳優から殺陣師になった友人が、
一世一代の斬られ方を考えていた。
福本も派手に斬られようと思っていた。
が、若い監督の考えは、
「ヒーローは人を殺さない」ということだった。
それで映画の最後、
福本は斬られずに殴られて捕らえられる。
ということになった。
しかし、彼はめいっぱいの演技をした。
「赤影」を撮っているあいだ、彼は髭を生やしていた。
そのせいでテレビには出られなかった。
収入が少なくなった。
福本はその映画にかけていた。

福本さんの人生を少し覗いて思った。
1つのこと一所懸命やるってことは素晴らしい。
それに比べておれはなんだ。
会社をいくつもかわって、
これだという仕事をしてこなかった。
いつか小説家になるんだとうそぶいて、
小説のまねごとはしてきたが、
ろくなものを書いてこなかった。
前の会社では課長なんて呼ばれていたが、
お定まりのリストラ。
あげくの果ては底辺労働者。
嗤っちゃうよ。
息子たちに「おれみたいになるなよ」
と喉まで出かかっているが、
そんなこといってどうなる。
いやいや、まだおれは自分を見捨てない。
花咲く50代を希望に、
花咲かせなかった40代最後の1年を
目立つ斬られ方を常に考えてた福本さんを見習って、
へたな文章を少しでもうまく書けるように
書き続けよう。
そんなことをテレビを観ながら思いました。

コメント
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