朝、私の仕事場に行くと、何かの鳴き声がする。
子猫のような小鳥のような切ない鳴き声だった。
私の仕事場はコンパネの上にクランプが
転がっている殺風景なところだ。
コンパネの上には埃が積み重なっている。
外との仕切りはビニールシートです。
屋根は波形トタンだ。夏は地獄のような暑さだろう。
私が三連クランプを袋に詰めていると、
雨音に混じってその鳴き声がるす。
ビニールシートの隙間から見ても見えない。
午後、やっとその姿が見られた。
雨にずぶ濡れになった子猫だった。
それをUに話してるときに、Kの叫び声がした。
「なんだよー。チョーびっくりした。
こんなとこに猫がいるよ~」
おれが急いで行くと、倉庫の中に小さな子猫が3匹いた。
黒と白と茶の混じったのだった。
みんなが集まってきた。
「クランプ小屋の外にも子猫がいるよ」おれがいうと、
みんなでだらだら私の職場に移動した。
子猫を発見したTが背筋をキリっと伸ばしていった。
「海猿、登場!!」
Tはビニールシートをはずし外に飛び出した。
そして雨に濡れてふるえている子猫2匹を救出した。
まるで海で遭難した美少女を救い出したように。
そのころ雨はやんでいた。
タオルでやさしく濡れた身体を拭いてやった。
みんなでしばらく5匹の子猫を中心に、
子猫の生まれてからのこと、将来のことを語った。
とりあえず元の場所に戻した。
親猫は帰ってくるのか。
この子猫たちの未来はどうなるのだろう。