「おいしいごはんが食べられますように」(高瀬隼子 著)を読んだ。
第167回芥川賞受賞作品です。
ある会社の1つの職場で働く人間模様を書いた小説です。
体調が悪くなると仕事が忙しくても早退したり会社を休む、
可愛くて思わず守ってあげたくなる病弱の女性社員、芦川。
そのことの職場の人たちへの気持ちとして、
手作りのケーキやお菓子を職場に持ってくる芦川。
芦川が休んだ分をしっかり働く女性社員、押尾。
二人の同僚であり、生きるための食事は簡単にすませたい若い男性社員、二谷。
物語はこの三人の関係を中心に展開される。
よその支店からきた頃、二谷は会社の帰りに芦川を誘い、レストランや居酒屋に行った。
そのうち二谷のマンションに芦川が行くようになり身体を重ねる関係になる。
押尾も残業をしたあと、二谷と居酒屋で飲むようになる。
1回だけ酒を飲んだあと二谷のマンションに行き、抱き合うが途中でやめてしまう。
2人の話すことは芦川のことが多い。
押尾は、芦川をいじめたくなる、なんてこともいう。
二谷も芦川のことをあまりよくいわない。
押尾は二谷に、自分は芦川が苦手だと打ち明け、一緒に意地悪しようと持ち掛ける。
二谷は芦川と毎週寝ているにもかかわらず、その提案を了承する。
家にきては料理を作る芦川の押しつけがましさを、二谷も疎ましく思っているのだ。
疎ましく思っていても芦川と付き合い続ける。
付き合っているのに意地悪してしまう。
このあたりの書き方がうまいと思った。
これ以上書くのは、〝ネタバレ〟になりますのでやめます。
私としては、小説の終わり方が腑に落ちなかった。
でも、人間のことを考えさせられる興味深い小説だと思った。