タンデムくんのいる国に向けて出発する直前、タンデムくんから連絡が来た。
ソフトハイキングシューズを持ってきて
と。私は旅行のときは写真の靴を履いて出かけることが多く、今回も、2足持っていくのが面倒だったので、写真の靴を履いて出かけた。
800mくらいの丘にハイキングに行くと言う。最初は彼のフラットから歩いて行く予定だったけれど、出発が遅くなり、丘のふもとまで電車で行った。
駅に降りた直後から結構な斜面
私、鍛えていないし、もう、最初の50mではぁはぁ言い出した。タンデムくんは、『僕はゆっくり歩くのは嫌だ』と言ってすたすたと歩くので、私は必死で着いていった。あっという間に限界に達した。そんな私を見てタンデムくんが、
頂上に行くの、やめる?
と聞いてきた。ちょうど、ハイキングコースとの分かれ道の場所で。私、
迷わず『はい』と答えた
だって、タンデムくんは足が長いから歩くのがとても早く、私が『ちょっとは足の長さの違いを考えてよ』と言ったら、
足の短い犬はどうしてるか知ってる?早く回転させるんだよ
と言い出したから。これ以上、早く歩くのは無理!
5分ほど平坦な道を歩いたら、また分かれ道に着いた。『どっちに行く?』とタンデムくんが聞いた(タンデムくんは頂上を目指す気満々だったので、ちょっと不機嫌だった)。私も、自分のペースで歩けるなら、歩くことは大好きだし、5分平坦な道を歩いたら呼吸も整ったので、
(木と土の)階段登ってみよう
と言うことになった。しばらく登り続けたら、獣道のような道になった。そして、左下にハイキングコースのような道が見えた。タンデムくんは、
下にちゃんとした道が見えるから、この道でも大丈夫
といって、さらに進んだ。道がなくる、何度も思ったけれど、その度、なんとなく道らしい獣道が続いていた。その内、獣道の道幅が40cmくらいになり、土がぬかるんでいて、すべるようになった。
もし、滑り落ちたら、両手両足広げて。そうすれば誰かが受け止めてくれるから
とタンデムくんに言われた。でも、人はいないし、木がたくさん生えているから落ちたらきっと、木に引っかかるんだろうな。
先を行くのもつらいけど、引き返すのも無理
な感じだった。引き返したら絶対すべる。というわけで、雪の上を歩いたり、木でできた橋を渡ったりしていたら、遠くに頂上の小屋が見えた。
あそこに行くから
と軽い感じで話すタンデムくん。私、登るのにいっぱいいっぱいで会話もできなかった。滑りやすいところでは彼が先を歩き、私の手をつかんで滑らないように引っ張ってくれたり、後ろからお尻を支えたりしてくれた。何箇所か、
彼がいなかったら滑り落ちていたと思う
場所があった。
そんなこんなで約1時間半のハイキングを終え、無事、頂上の到着。電車も通っているから、バギーをたくさん見かけた。ガイドブックを見たら、
お手軽なハイキングコース
として紹介されていた。なのに、泥だらけになった私たち。写真は私の足。
頂上からの景色を楽しみ、
電車で街まで
戻った。彼のフラットの最寄り駅まで直通だった…彼曰く、『電車で登って歩いて下る人が多いけど、それはつまらないと思う』。さすがドイツ人。
彼は何度かこの丘に登ったことがあるみたいだったけれど、今回の獣道をひどく気に入ったようで、『この道をもっと探検する』と言っていた…