唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

娘を売って

2006-08-02 08:28:32 | Weblog
反乱している魏博田悦が昭義軍の臨<めい>城を攻囲して数ヶ月がたった。

守將の田<はい>はよく防禦していたが、さすがに兵の損害は多くなり、
食糧も欠乏してきた。

<はい>は兵達の戦意が急激に落ちてきたことをひしひしと感じていた。

「援軍も物資も届かない」

「軍功に報いる金帛もつきてしまった」

「このままでは裏切り者がでて落城は間違いない」

限界が迫っていると感じた<はい>は將士を集合させた。

「皆は必死で戦ってくれているが、私にはそれを報いる方法がない」

「未婚の娘が一人いる」

「この娘を売って、多少とも皆に報いたい」

<はい>をしたう将卒は驚愕した。

「誓って戦い抜きます。そんなことはしないでください」

將の決意を知って戦意は再び高揚した。

やがてやってきた援軍とともに敵軍を大いに破った。