「緊急事とは何だ」
「宰相が襲撃され、お怪我をされました」
「なに・・・・」文宗皇帝は絶句した。
開成三年正月の事だった。
「傷の程度はどうだ」
「幸い命に別状はございませんが」
すでに文宗には犯人はわかっていた。
宦官仇士良一派が、その専権を妨げる宰相李石を
除こうとしたものだ。
三年前の甘露の変以来、宦官達の勢力は強く
文宗や宰相は押されっぱなしである。
ただ石だけが抵抗していた。
「またやるかもしれん」
「護ってやることは朕にはできぬ」
文宗は己の無力さをひしひしと感じた。
一月後、傷が癒えた石が参内した。
「石よ、荊南節度使として行ってくれるか」
それが文宗が、石の命を護ってやれる唯一の手段だった。
傍らで仇士良が憎々しげに石をみつめていた。
「宰相が襲撃され、お怪我をされました」
「なに・・・・」文宗皇帝は絶句した。
開成三年正月の事だった。
「傷の程度はどうだ」
「幸い命に別状はございませんが」
すでに文宗には犯人はわかっていた。
宦官仇士良一派が、その専権を妨げる宰相李石を
除こうとしたものだ。
三年前の甘露の変以来、宦官達の勢力は強く
文宗や宰相は押されっぱなしである。
ただ石だけが抵抗していた。
「またやるかもしれん」
「護ってやることは朕にはできぬ」
文宗は己の無力さをひしひしと感じた。
一月後、傷が癒えた石が参内した。
「石よ、荊南節度使として行ってくれるか」
それが文宗が、石の命を護ってやれる唯一の手段だった。
傍らで仇士良が憎々しげに石をみつめていた。