唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

援軍

2006-08-17 09:12:20 | Weblog
「市場でも荒らしに行くか」

「近頃は不景気だからたいした金にもならんがなあ」

「まあヒマだからな・・・」

含光門の守兵、名前だけは禁軍だが実際は無頼の連中である。

解任された宦官の楊復恭軍と皇帝軍が戦っているため、規律はより緩んでいる。

ぞろぞろと列を作って掠奪にむかっていた。

突然列の前に立ちふさがる騎馬があった。

ギョッとしてみると、宰相の劉崇望である。

「お前らはなにをしておる。皇帝は今賊軍と戦っておられるのだぞ」

「形勢は互角で、援軍があったほうが勝つ状況だ」

「市場を掠奪して小銭をかせいでなんになる」

「今、皇帝へ援軍として行けば、富貴は思いのままだぞ」

実際は形勢不利である崇望は必死で呼びかけた。

兵達は顔をみあわせていたがやがて

「あいつの言うことはもっともだぜ、いっちょうやるか」

「うまくいけば運が向いてくるかもな」

風向きが向いてきたことがわかった崇望は

「安喜樓へ向かえ」と命じ駈けだした。

兵達もいっせいにあとを追っていった。

皇帝軍に援軍がくると、形勢は逆転し復恭軍は崩れ散った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする