唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

正義は勝たず

2006-08-03 08:30:57 | Weblog
「お助けください」

毛若虚は肅宗に謁見されるやいなや訴えた

「ここを出て行けば逮捕され、刑死するのは確実です」

側近の李輔国もまた若虚をかばった。

「若虚は私の指示にしたがって取り調べただけなのです」

「中丞達は結果が気にくわないので、罪に落とそうとしています」

輔国配下のものが不法を重ね。

民の訴えをうけて地方官が死刑にした事件があった。

かえって輔国は地方官のほうを罪におとそうとし、

中丞崔伯陽達の御史臺が納得しないため、

若虚に命じて罪をでっちあげていた。

激怒した伯陽の追求をうけて帝前に逃げ込んだのであった。

「よしよしここへ隠れておれ」と皇帝は言い、伯陽を呼んだ。

伯陽は入ってくるやいなや、若虚を指さし批判した。

「こいつが拷問をして罪をでっちあげたのです・・・」

「他にもこいつは法を曲げ・・・・」

しかし皇帝はうんざりしていた。

輔国の顔色は極めて険しい。

「また一荒れありそうだ」

軟弱で輔国に頭があがらない帝にとっては嫌ななりゆきである。

「わかった、もうそこまでにせよ」と帝

しかし伯陽は徹底的に若虚を叩くつもりであった。

ついに「いいかげんにせよ」と帝は切れた。

かえって流罪となったのは伯陽等御史臺の面々であった。

帝にとって法より輔国の機嫌のほうが大切であった。