嚴武が剣南の地で亡くなったという報せが届いた。
吐蕃の侵攻により動揺していた剣南を
その強権で曲がりなりにも抑えていた武の死は朝廷を困惑させた。
当然、実家にも連絡が入った。
しかし武の母は悲しげな様子もなく日常と変わらなかった。
不思議に思って家人が
「お悲しくはないのですか」と聞くと
「武が生きている間は毎日が心配でしたよ」
「法や規則を勝手に破り、気に入らないと部下でも殺してしまう」
「いつ処罰され、私も連座して官奴に落とされるか」
「注意してもまったく聞かない子でしたからね」
「これからは安心して暮らしていけますよ」
吐蕃の侵攻により動揺していた剣南を
その強権で曲がりなりにも抑えていた武の死は朝廷を困惑させた。
当然、実家にも連絡が入った。
しかし武の母は悲しげな様子もなく日常と変わらなかった。
不思議に思って家人が
「お悲しくはないのですか」と聞くと
「武が生きている間は毎日が心配でしたよ」
「法や規則を勝手に破り、気に入らないと部下でも殺してしまう」
「いつ処罰され、私も連座して官奴に落とされるか」
「注意してもまったく聞かない子でしたからね」
「これからは安心して暮らしていけますよ」