唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

落馬

2006-08-09 08:36:48 | Weblog
「いっちょうやるか」と董重質

「腰抜け官軍共、お公家さんを脅かしてやろうぜ」

「宰相の捕らえて引き回すのもおもしろいぜ」

淮西軍の陣中は大いに盛り上がっていた。

近々の敗戦はあったが、まだまだ官軍を呑んでいる

官軍による淮西征討は敗戦の歴史だ。

今回は本気らしく、宰相裴度が自ら総大将となってきた。

すこし落ち込んでいた淮西軍の志気はかえって盛り上がった。

翌日、度が陣地の工事を視察に現れた。

突然周りの草むらから潜んでいた淮西兵が斬りかかる

周囲の官軍はたちまちに逃げ散った。

「お逃げください」さすがに度の従兵は宰相を逃がそうとした。

度は乗りなれてない馬を必死で走らそうとする。

淮西兵はそれをめがけて切り込んでくる。

度は落馬し、溝に転げ落ちた。

「もうだめだ、やられる」

その時、田布が率いる魏博軍の精鋭がなだれこんできた。

さすがに一時の驚きがすぎると官軍は多い。

忠武兵も必死に盛り返してくる。

「深入りするな、もう十分だ」と重質は下知した。

淮西兵はたちまちに撤収していく。

泥まみれの度は溝の中から茫然とそれを見送った。

「なかなか難しい・・・・」