唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

臆病者

2006-08-30 18:38:48 | Weblog
「殿、庭先に引き据えました」

「うん? 捕虜とはいえ仮にも刺史殿だ、庭先はひどかろう」

「しかし殿、たまらなく臭いのです」

「臭い?」

「捕まってから怯えきってて垂れ流し状態なんです」

反乱軍、淮西李希烈の陣である。

引き据えられているのは汝州の刺史李元平

自分なら汝州を守り抜いてみせると

宰相関播や皇帝の前で大言壮語した当人である。

ところが將李克誠の猛攻にあって即日落城

「希烈などは敵ではないと申したそうだの」

「お赦しくださいまし、言い過ぎました」

元平は必死に頭を地に打ちつけて懇願した。

こいつは能はあるかもしれんが臆病者だ。

そう判断した希烈は言った。

「赦してやれば、おれに仕えるか」

「もちろんです。陛下、忠誠をお誓いいたします」

糞便にまみれて舞踏するその姿をみて

希烈の臣は笑いをこらえるのに苦労していた。