唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

抜矢

2006-08-31 18:16:35 | Weblog
至徳二年、京師回復の戦いは激戦となった。

回紇・郭子儀の官軍十五万に対して

安慶緒の勇将李歸仁は十万の精兵で対抗した。

数では勝る官軍だが、賊兵のほうが強い。

初戦はたちまち賊軍優勢となった。

「退くな、持ちこたえろ」

安西將李嗣業は肌脱ぎとなって大刀を構えて指揮している。

先鋒の將王難得もまた形勢回復のため奮戦していた。

突然難得の顔面に賊軍の矢が

眉を貫き、片眼に突き刺さったのだ。

周りの兵達は騒然となった。

しかし難得は矢を一気に抜き去り

顔面の血をぬぐうと戦い続けた。

「回紇軍が突撃を始めた。賊が崩れたったぞ」

形勢は逆転し、血まみれの難得も先頭に立ち突撃していった。