唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

わからぬ

2006-08-11 08:50:25 | Weblog
石演芬は西域の胡人、武勇に優れて朔方軍の将として李懷光に仕えていた。

奉天の役、懷光ははるか河北より駆けつけ皇帝を朱の包囲から解放した。

演芬も必死に走り、戦った。

ところがである。

「なに、殿が反逆者の朱に通じておられる、そんな馬鹿な・・・」

「連合して陛下を攻めることに・・・」

「なんのために、この間まで戦ってきたんだ!」

將士の間ではうわさが沸騰していた。

朴訥な演芬にとってはすべてが理解できなかった。

そこで周囲の薦めにより皇帝に通報することにしたが

その疎漏な行動はすぐ懷光の知るところとなった。

「おまえは。なぜ儂に背く、恩を感じないのか」と懷光

「皇帝の恩を受けながら背く殿が、なぜ俺を責めるのか」と演芬

「これにはいろいろと訳があるのだ」

「俺のような胡人にはわからぬ、わかるのは俺は賊ではないいうことだけだ」
と演芬は言い放った。

激怒した懷光は
「バラバラに切り刻んで食ってしまえ」と命じた

しかしなにか割り切れぬものを感じている將士は

忠烈の士として遇し一刀で首をはねて埋葬した。