小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの | |
森 健 | |
小学館 |
事前の知識もなく、普通の経営書・評伝だと思い込んで読み始めて、面食らった。
官僚と闘い、宅急便という新たなビジネス、というより生活インフラを日本社会に生み出した男、小倉昌男。
その小倉は、経営の一線から退いた後、福祉事業に莫大な私財と労力を費やしていく。
それはいったい何ゆえであったのか?
著者はそこに好奇心を掻き立てられ、謎に切り込んでいく。
そして、外の者には窺い知れない苦悩に満ちた、小倉家の葛藤と赦しの歴史に行き着く。
その内容にここでは触れないが、最後、著者が小倉の長女、長男と面会して話を聴く件りでは、それまでの歴史とは打って変わった穏やかさに深い感動を憶えた。