そうか、君は課長になったのか。 | |
佐々木 常夫 | |
WAVE出版 |
いわゆる「課長本」のベストセラー。
著者は、肝臓病・鬱病を病んだ奥さんと自閉症の息子さんとを抱え、育児・家事を担いながら課長職を務め、東レの取締役を経て東レ経営研究所の社長となった人物。
しかし、この本ではそういった苛烈な状況での仕事とプライベートの両立という要素はあまり前面に出てこず、オーソドックスな「課長道」が説かれています。
「プレーイング・マネージャーにはなるな」「最初に君の信念を示す」「誉めるが8割、叱るが2割」など、なるほどと思わされる部分がある一方で、「社内政治に勝つ」の章では如何にも日本企業的なテクニカルな面でのアドバイスにも結構紙幅が割かれているあたり、面白いなと思います。
しかし、最初に『志』や『信念』の大切さを強調していながらも、『評価』されるためには『社内政治』に勝つことが重要であるというところに話が落ち着いていってしまうのは、極めて現実的ではあるのですが、少々青臭いことを云わせてもらえば、やはり『会社』という『組織』の中で生きることの限界みたいなものを感じてしまったりもします。