そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

TOBの内部矛盾

2006-08-21 23:26:25 | Economics
王子製紙による北越製紙に対する敵対的TOBは、王子側にかなり不利な状況になっているようだ。

今朝の日経新聞スイッチオン・マンデーの「法務インサイド」に、買収防衛・TOBに関する解説記事が書かれており、一部興味深いところがあったのでメモしておく。

北越の買収防衛策について、第三者委員会(北越の場合「独立委員会」)による買収防衛策発動へのお墨付きの与え方に厳しい評価がされていること、日本製紙が買収戦に横槍を入れたことについては王子には痛かったが法的問題はないこと、にも触れられているが、個人的に興味をひかれたのは、TOBという制度が抱える内部矛盾についての解説。

北越株主にすればTOBへの態度決定に戸惑うケースも現れる。仮に、ある株主が王子提案の方が企業価値を向上させると考えた場合、TOBに応じるのが合理的判断に思える。

しかし、株を売却すれば北越株主の地位を失うため、経営統合による”成果の果実”は手にできない。逆に、現経営陣を支持してTOBに応じなかった株主が果実を手にする皮肉な結果が起こりうる。

黒沼悦郎・早稲田大学教授は「TOBの本来の趣旨は、少数株主にも平等に株を売る機会を与えるための情報開示制度。M&Aの手段にもよく使われるが、買収者のTOBに賛同した株主が買収成果は手にできないジレンマが生じる」と説明する。

王子にとっても、仮にTOBが成立すれば経営統合案を支持した株主は去り、反対した株主が残るというかじ取りの難しい状況が残る。

言われてみれば、その通りだ。
専門知識のある人には常識なのかもしれないが、素人である自分は「なるほど~」と思ってしまった。

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