アメリカの占領政策の中で、何が壊され、何が維持されたのかは日比で異なるが、重要なのはアメリカにとって利用価値のあるものが残されたという事実であろう。日本では官僚機構であり、フィリピンでは大地主の寡頭的支配層が効率的占領政策のために選ばれたパートナーだったのだ。
周知のように、現在の日本官僚は、対米従属政策を押し進めることに自らの存在意義を見出すが如くの機能不全状態に陥っており、日本社会の桎梏とすら言える。フィリピンでは議会が官僚より優越しており、それゆえ1991年に議会が米軍基地の撤去を自ら決めることができた。一方で官僚が議会より優越する日本では、アメリカからの自立を模索するあらゆる試みが官僚の手によって握り潰されている。今日、アメリカにより飼いならされて混迷の度合いを深めているのは、フィリピンよりも日本であろう。 . . . 本文を読む