イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

どんじりに控えしは

2009-03-28 00:12:47 | 映画

NHK朝の連続テレビ小説『だんだん』もなんだかんだで明日最終話のようです。今朝久しぶりに見たら、祇園の節分の行事“お化け”っていうのがあるんですね。節分の厄除け、招福イベントとしては“恵方巻き”なんて当地でも近年売っていますが、災厄を“人を驚かすような仮装”で退けようという思想なのか、なんとなくキリスト教圏のハロウインを思い出します。花街、遊郭、芸能界を筆頭に、“お客様商売”の世界は、古くからの縁起や季節の節目を特に大切にしますしね。

『白波五人男』風名乗りの涼乃ちゃん(木村文乃さん)が、舞妓でも男装でもやっぱり個人的に一等賞。東京生まれだったんですね。“いけず”“いびり”の自覚があってやってたと、初めて知りましたよ。「いけずの涼乃どす!」本当に可愛かった。

「いけず」ってまさに京都の概念、京都言葉の典型だと思う。共通語の世界での「意地悪」「根性曲がり」とは、同じようで違うんだなあ。全方位キレイキレイの優等生や、見ててストレスたまる辛抱努力キャラは受けない時代だし、劇中、料理のしようでもっともっと魅力的になり得る人物だったのに、途中全然登場しない時期があって本当に残念。

木村文乃さんは宝塚娘役さんによくいるような清楚な目鼻立ちで、大人っぽく見えますが87年生まれ21歳、三倉茉奈・佳奈さんより一歳年下だそうです。女優デビュー作が、孤高の画家田中一村をモデルにした06年の映画『アダン』とのこと。田中一村は中央画壇と断絶して奄美大島で厳しい自然を相手に独自の制作に打ち込み、極貧の果てに没したものの、(後ろ盾のない芸術家によくあるように)死後再評価され近年は“日本のゴーギャン”とも称されている人ですね。木村さんは、一村のクリエイティヴィティが生み出した、一種の“脳内イメージガール”的な役だったようです。奄美ネイティヴに見えるように、撮影クルーの誰より先に島に入って日焼けしたと、公開時のインタヴューでも語っておられます。木村さん当時18歳。うぉーー日焼けしてるんだ。南国奄美だから肌露出も多いんだ。レンタルDVDでぜひ探したいですが、うちの近隣で見つかるかしら。ちなみに主役の一村役は、実生活でも画家として活動されている榎木孝明さんです。

花鶴さん姉さんの京野ことみさんは、むしろパリッ、シャキッ男装のほうが似合ったような気もしますね。男に惚れっぽく、それも格下めな男に「放っておけない」とマジになっては状況に立ち塞がられ、あるいは自分の見込み違いで散る繰り返しで、気がつけば場数だけ踏んだ“恋愛相談の達人”…というキャラも、女性メインのドラマにおいてもっと共感を集める人気キャラになってよかった。『ショムニ』『大奥』と、奥ゆかし&ドンくさ系の京野さんの新境地ともなったはずなのに、こちらも結局、馬の足さんと、男衆さんとのエピがちょっとあったぐらいで、限りなく消滅に近い後退。“人物を好きになってもらう”ことがドラマ制作上の王道なのに、涼乃ちゃん同様、美味しくなりそうなところを軽視してもったいない。

全体に、祇園が薄いまま終わってしまったのはこのドラマの残念なところのひとつです。全員が全員そうというわけではないでしょうけれど、東京以北の地方在住者から見ると、失礼を承知で思いっ切り言わせていただければ、東京以西で、かつ“田舎”に関しては、ローカル色をいくら強調されてもあまり興味がわかないものです。

自分の地元もじゅうぶん田舎なのに、遠く離れた田舎なんてどうでもいい(身蓋無)。

TVで放送されてそぞろ心惹かれるのはやはり京都、大阪、奈良、金沢といった歴史と伝統ある古都、あるいは博多、神戸、長崎といった異国情緒がらみの港町止まり。地方在住者のこういう“地方っぽさに倦んでいる”気分は、東京や大阪のNHKでドラマを作っている人たち、首都圏主体の視聴率リサーチをもとに動いている人たちにはわかりにくいかもしれない。彼らにとってはロケハンやロケで出向く“地方”は新鮮でしょうから。

今作はツインズヒロインの一方が祇園の舞妓という設定で、京舞や花街独特の空気感がたっぷり観られるかなと思ったのも、高齢家族に随伴して視聴始めた動機だったのですが、ここでも“双子設定”が足を引っ張った。

NHK朝に“花街的空気”を期待するほうが無理でしたか。お色気やエロティシズムが御法度の世界ですもんね。昭和の時代の朝ドラなら人気脇役になったかもしれない不器用無骨善良系の康太(久保山知洋さん)を筆頭に、ヒロインとからむ若手男性陣が、全員見事に視聴者のハートを捕らえず、枕を並べて終始スベり通したのも痛かった。

次クール『つばさ』は全47都道府県ロケの悼尾を飾る埼玉県舞台だそうですが、高齢家族、視聴する?と訊いたら「わからん。始まってみないと」とのことです。

いけずの涼乃ちゃん・木村文乃さん、だめんず花鶴さん姉さん・京野ことみさんは、個人的にはぜひ昼帯ドラ主役で、持てる力量と美貌を全開といってほしいところですが、まだ無理かなあ。

コメント
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