「良家名家の子弟が集まる学習院初等科にも、いじめや校内暴力があるんだな」と思った向きも多かったのではないでしょうか。学習院の理事さんは、本当に何のために記者会見まで開いたんでしょうね。大きな声を上げて廊下を走ったり教室から飛び出したりする生徒なら、どこの学校にもどのクラスにも普通にいる。初等科=小学校低学年だから他愛ないことだとは言っても、「注意を喚起」して担任のほかに補助教員をつけるなどの手も打ち、昨年の11月頃には問題も鎮静化していたそうです。
「愛子さまをターゲットにしたいじめや暴力行為があったわけではない」というのだから、結局は“近距離に男子生徒が飛び出してきたぐらいのことで強い不安感をおぼえて登校が困難になるくらい、ああ見えて(どう見えてだ)愛子さまって神経質なお子さんなのね”という印象と、“4時限めの国語の授業だけ出て、給食もオメシアガリにならずに帰るようなフリーダム登校が、やっぱり皇室の子は通用するのね”という豆知識だけ鮮明に残った感。
こんな地合いができたあとに「ご登校していただきたいと思っている」と言われても、愛子さんもプレッシャーでしょうし、「2人と聞いている」という他クラス飛び出し男子生徒くんたちも、“元気なそこらのワンパク坊主”していただけなのに加害者ムードで、災難な話です。学習院も、皇族がたとは歴代、短いお付き合いじゃないのに思わぬところから「幼い宮様に乱暴な振る舞いをする生徒がいるなんて、学習院も質が悪くなった」的なイメージダウンで困惑していることでしょう。
結局何のための、誰をどうしたいための異例の記者会見だったのか。どうも最近、皇室関係の、おもに宮内庁発で公表される情報からは、“見えない仮想敵”に対する過剰防衛みたいなものを感じてしょうがない。宮様っつったって小学校2年生のお子さんですから風邪もひくだろうし、長引いた末にやっと治って、さあ学校行くぞとなったとき、ダラ癖ついてて、学科の勉強も何日分か遅れてしまったし、「お腹痛ぁい、行きたくない」と渋ることもあるでしょう。
どんな名門校でも男子の小学坊主っつうと、おとなしい女子から見ると“廊下で目を合わせるのもなんかコワイ”みたいな、身体がでかかったり言葉や態度が荒っぽかったりの子は必ずいるし、先生からお灸据えられて一時鳴りをひそめてたけど、教室移動や手洗いタイムで外に出ると先生の目が届かずそれっとばかり爆発、なんてのも年中やってること。やってない小学校なんて、そっちのほうがよほど異常で心配です。
学習院の先生が会見開かなければならない事態のきっかけになった東宮大夫の定例会見で、「風邪が長引かれて欠席されている」ぐらいにとどめておき、裏で…ってのはおかしいけど、学校や担任の先生と話し合って、愛子さんにも男子生徒たちにも“被害者加害者”的な影が落ちないように、穏便に運ぶことはできなかったものか。宮様と言えども小学校2年生のお子さんが、こんな発表したばっかりに新聞やワイドショーのネタにされ、ああじゃないかこうじゃないかと詮索されているって、どう考えても醜悪な図に見える。
そんなに何でもかんでも“記者発表”しなければならないものでもないでしょうに。しかも発表した内容が、スーパー奥歯にものがはさまった表現だから、ツッコまれないようにツッコまれないようにびくびくして結局墓穴を掘っている感じ。
皇室なんてのは(あえて“愛ある放任”として“なんてのは”という表現を用いましたが)日本のどこかに、ひっそりゆったり淡々と、お付きの人たちに護られて、ご公務やボランティア活動をしながら鷹揚に暮らしててくれればいいんじゃないかと思うんですが。ご誕生とか、冠婚葬祭のときだけちらっと報道されて、「あぁ、そう言えば日本って皇室っちゅうものがある国だったな」と思い出す程度の存在感が健康的なのではないでしょうか。風邪引いて学校何日休んだとか、いちいちつまびらかにされなくても、別にいいのにね。好きでああいう特殊な家の子に生まれたわけではないのに、なんだかかわいそう。
…とは言え、(得意科目らしい)国語の授業だけ受けて、給食時間はなしで家に帰れるんだから、差し引きやっぱりいいご身分か。地獄だったもんなぁ、小学校の給食時間って。