SAPPORO麦とホップが、リニューアル後胸焼けがしなくなったのに気をよくして、一週間ほどレギュラーでリピートしたのですが、間をおいて、ニューカマーのKIRINサウザンを試飲した後でこっちに戻ると、やはりちょっと重いですね。
アルコール度数はスタンダードの5%なので、お酒として“強い”“きつい”ではなく、ビール味に近づけるべく原材料にいろいろ細工した分の“雑味”、もしくは添加物でしょうね。
単独で飲んでた時には「リニューアルして飲みやすくなった、これなら“私にはビールです”もウソにはならない」と思っていたのですが、もっぱら後味さっぱりを売りにしたサウザンを試しちゃうと、もうアウト。
ビールの黒ラベル、エビスブランドのザ・ホップやシルクエビス、当地限定のCLASSICは飽きないし、残らないし、国産他社製品に比べてクチに合うと思っていたSAPPORO製品ですが、新ジャンルに関してはどうもW-DRYが消えてから相性難が続きます。
そのKIRINサウザンにしても、原料由来の雑味を漉し出すために、天然ミネラルウォーターではなくマグネシウムを強化した水を仕込みに使うなど、第三のビールらしい小手先感ありありなんですけどね。前にもここで書いたように、新ジャンルって“安上がりにビール似の味を出そう”という、基本バッタもん精神のジャンルなので、逆に、本物の何倍も何十倍も考えて考え抜いて、何度もサンプル作ってテイスティングして、丹念に、丁寧に、手間ヒマかけて作らなきゃいけない。
この“手間ヒマのプロセス”が何工程にもわたって厚いぶん、ハズレるときはハズレが大きくなるんでしょうね。発射時1㍉だったブレが、100メートル先に命中するときは10㌢の大ハズレになってるようなもの。とりあえず選択肢が次々途切れず市場に現われるので、スイートスポットに近いのに出会えるまで、こっちもマメに試すことですな。
さてとっ、放送クールが9月スタートに変わったこともあってついついするする来てしまいましたが、『仮面ライダーW(ダブル)』も気がつけばすでに第27話、折り返し点を過ぎているではありませんか。『555』なら第三のライダー(と言うよりベルト)・デルタが参入、『剣(ブレイド)』ではブレイドのジャックフォーム強化、レンゲル=睦月の闇落ちと、ジョーカーの存在に焦点が当たって、後半の怒涛の展開につながった辺りに来ている計算です。
『W』は一応2週で1エピ完結の構成になっているため、ひとつの事件が終わって翔太郎(桐山漣さん)がレポートをタイプする都度、「いろいろあったけどまあめでたしめでたし」な気分になりますが、ガイアメモリの謎、いよいよ奥深くなってきました。どうも『555』のオルフェノク覚醒、『剣』の融合係数同様、力を使えば使うほど人間らしさ、人間としての生命力を食い潰すような仕組みになっているらしい。
だったらドライバを使っているとは言え、翔太郎もフィリップも、照井も危ないじゃん。何を企んでいるんだシュラウド。何を考えていたんだおやっさん。
第二ライダーとして、アクセルが加入してきてから一段とテンションが上がっていますね。仮面ライダーというヒーローは、元祖の時代から人間への“敵対性”“負の感情”を内包させて作られてきた歴史がありますから、熱くなると人命救助や正義道義をさしおいて復讐のためにのみ戦うアクセルの参入で、いよいよもって正統仮面ライダー物語らしくなってきた。
アクセル=照井竜(木ノ本嶺浩さん)初登場の19話が実に良かった。アイスエイジ・ドーパントを一家“凍殺”の犯人と思い込んだ照井に、「左、早く仮面ライダーに変身して戦え!」とカツ入れられ、事務所のフィリップ(菅田将暉さん)を「フィリップ、変身だ!」と召喚したものの、検索に熱中すると容易に出てこないフィリップが反応せず、「あ゛ーーオマエ何にはまってんだよ!」と苛立つ翔太郎、ここで照井が放ったひと言「不便なヤツらめ!」。
……『W』開始当初からずっとうすうす思っていたことを、よくぞひと言で言ってくれました。この瞬間、月河は『W』の今後に関してはアクセルについて行こうと決めたのです。名実ともにWとチームになる日はいつか。最終話は夏休み中か。熱い夏になるなぁ。
21日放送の第27話では、メモリの力に魅入られて道を踏み外してしまう新人マジシャン役で、『忍風戦隊ハリケンジャー』ハリケンブルーの長澤奈央さんが。ハリケン当時は18歳、いま26歳かあ。髪型のせいかちょっと顔が細くなったようだけど、ドジっ子風味は変わらず。いまにして思うと、ハリケン当時が18歳にしては大人っぽかったですね。
ライダーによってメモリブレイクされると人間としての命は助かり法の裁きを受けるのが通例になっていますが、お祖父ちゃんの引退興行には間に合うかしら。メモリをに頼らず実力の努力で結果を出せばきれいにまとまりますが。
アクセルの偵察機・ビートルフォンに続き、音声のフロッグポッド、今週はデンデンセンサー。話題の3D用眼鏡をイメージしているのかな。小さなお友達が好きそうな小動物をピンポイント選んでモチーフに、よくもまあ次から次へと出してきますわ。『響鬼』のディスクアニマルで、「コレずるいよなあ」と思ったものだけど、エスカレートとどまることを知らず。
ところで長澤さん扮する新人マジシャンの役名は“リリィ白銀(しろがね)”。オールディーズな特撮ファンが、マジシャンという設定とともにこの響きを聞くと、『ウルトラQ』の悪魔ッ子リリーを思い出さずにはいられませんが、『W』はハードボイルド物語で“鳴海ショウヘイ”の探偵事務所ですから、映画『処刑遊戯』で松田優作さんを陥れる謎のピアニスト役をつとめた歌手のりりィさんのイメージもあったんでしょうね。『W』、つくづく大人への目配りも抜かりのない作品です。