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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

たちあがるな

2010-04-10 15:53:55 | 朝ドラマ

『ゲゲゲの女房』の気配り兄嫁・邦子さんは、08年夏の昼帯ドラマ『白と黒』のサリナちゃん桂亜沙美さんですね。いきなり妊婦さんルックでの登場だったため、『白と黒』前半戦セクシー担当だった抜群のスタイルは封印中ですが、エロ妖精風だけじゃなくて、昭和のしっかり地に足つけた役もできるのにびっくり。

『ゲゲゲ』第一週には、「お母さんが死んでしまう!」と布美枝ちゃんが駆け込んだ“田村醫院”の看護婦さん役で大村彩子さんの顔も見えました。昭和18年の戦時中設定だったので、ナースキャップに白衣ではなくモンペ姿だったのが惜しい。昼帯~NHK朝ドラ~土日特撮ヒーロー間でのキャスト人財交流は結構活発です。

“当時の女性としてはノッポ過ぎて縁遠くなってしまった”設定にだけはとりあえずぴったりな長身(公称174センチ)だけれど、目鼻立ちも大作りで派手めなだけに昭和の山陰地方出身若妻役はどうなの?と思った松下奈緒さんが、意外にもと言っては失礼ですが大健闘ではありませんか。顔立ちは変えようがありませんが、微妙におずおず風味で、戦前からの日本商家のセットの中で長い四肢をもて余し気味なのがかえって役にマッチしている。家族からも幼友達のチヨちゃん(平岩紙さん)からも、善意でキッツいことをグサグサ言われる場面もあるのですが、決してキンキンナーバスに反応せず、どこかのんびりして、底が明るいのがいいですね。

久々舞い込んだ縁談の相手が戦争で左腕を失っていると聞いて、母や姉や叔母は気をもんでいるのに、「左腕がない…いうことは、(洋服の)左袖はどうしとるだろうか?」とミシンを踏みながらふと考える。どこか“半歩遅れ”な天然さで、コンプレックスや内攻感がないのです。朝のレギュラーヒロインには打ってつけ。

これまた失礼な言い方ですが、ヘンにリアルで達者な演技力なんかがないほうが、観ててさわやかに感じられる役、作品、というのもあるものです。

面長な輪郭をカバーする、斜めに流して留めた前髪、手作り風のクラシックな柄のブラウス、いつも微妙に丈長なVあきのカーディガン、自転車に乗りやすそうなAラインのスカート、折り返し付き白ソックスなど、洋裁学校生らしさを残しつつも“でも、子供がいてもおかしくない年だし、あんまり娘、娘してても”というつつしみの感じられる衣裳の選び方もナイス。

ドラマ公式サイト内にある、リアル水木しげるさんの奥様・布枝(ぬのえ)さんのインタヴューを読むと、結婚して東京に越してからは想像を絶する貧窮の日々だったようですが、ご本人の語り口がこれまた、まぁ昔のことだし現在が満ち足りているからこそでしょうが、とにかく余裕でポジティヴ。劇中の布美枝さんもこのキャラを貫いてくれれば、貧乏所帯ハングリーものにありがちな、気の滅入るドラマにはならずにすみそうです。

いよいよ布美枝嫁入り篇となる次週第3週からのもうひとつの楽しみは、しげる両親役での風間杜夫さんと竹下景子さんですね。ベテランのお2人、共演自体は初めてではないと思いますが、月河が忘れられないのはやはり1985年のSPドラマ『受胎の森』です。樹海から偶然採取された謎の生物細胞と、非配偶者間体外受精でもうけた子をめぐり、愛と倫理のはざまで葛藤する科学者ふたり、一馬(かずま)と知(とも)。

知の卵子は一馬の精子と試験缶で受精、不妊に悩んでいた妹の恵(けい。樋口可南子さん)の子宮に着床せしめられ女児が誕生、幸せそうな一馬と恵の結婚生活を見守りながら、一馬を愛していた知は「一馬の子は私が産むはずだった」と嫉妬に苦しみ続けます。

今般の『ゲゲゲ』では、お2人にはしげるを含め、男ばかり計3人の子がある設定。しかも公式の人物紹介を読む限り、完全に、竹下さん扮する奥さんが、風間さんの旦那をコントロールするご夫婦のようです。

『受胎~』から四半世紀の年月を経て、「知さん、よかったね」と思ってしまいますが、もちろん、そんな延長線上の話ではないのですな。

コメント
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