『おひさま』でヒロイン陽子(井上真央さん)の親友で、モガ志願?のとんでる女学生・育子を好演中の満島ひかりさんは、気がつけば2008年の連続テレビ小説『瞳』でもヒロイン親友、と言うかユニット(=“ローズマリー”)メイトの純子役でしたよね。宇都宮の餃子屋の娘。兄貴役が戸次重幸さんで、「ダンスで食べて行くなんて夢はあきらめて店を継げ」としつこく言ってた。自分は銀行マンで、自分が辞めて継ぐ気はないくせにね。人間の顔をした悪魔。んなことはない。
それはともかく新人女優さんの登竜門でもあるNHK朝の連続テレビ小説、ヒロインオーディションで最終まで残って惜敗した人が、ヒロインの親友役とか、恋やお仕事のライバル役など、“ヒロインの次に出番が多くて目立つ同年代女性キャラ”に充てられることが多いと聞いたことがあります。わー、なんだか少女漫画の世界チック。
本人や関係者から直接聞いたわけではないけれど、最近で言えば『てっぱん』の加奈ちゃん役、朝倉あきさんなんかそんな感じでしたよね。健康的で努力家タイプで、ヒロイン役の瀧本美織さんと少しかぶるところがある。NHKドラマですでに実績があったし(『とめはねっ!鈴里高校書道部』)。ただ、色白で雰囲気がふんわかしているので、ベッチャーお祖母ちゃん富司純子さんとぽんぽんやり合ったり食ってかかったりを想定すると、やや嵌まらなかったか。
あと、『つばさ』の万里ちゃん役・吉田桂子さんも、劇中ではスポーツ紙記者の道に進んだけど、俄かコミュニティFMDJつばさでもいけた気がします。『つばさ』前はモデルさんの芸歴しかなかったはずですが、とりあえず声は出ていた。
しかし吉田さん、年齢的に『つばさ』時点で25歳で、絵柄的にはつばさと同期の短大生ができても、ヒロインになった場合、真瀬社長役・宅間孝行さんとからむことを考えると雰囲気が大人過ぎてナマナマし過ぎる。山本未來さんとガチで三角関係が成立してしまいそう。
とりあえず、劇中、ヒロインと対立したり協働したりする役柄の若い女優さんを、「この人がヒロインだったら」という視点で見てみるのは興味深いものです。
そう考えると、満島さんの“親友役2度め”ってのはどう解釈すればいいのかな。『瞳』では榮倉奈々さんと、ともに元気っ娘タイプで、里子(さとご)役の子役さんたちとのからみも問題なさそうで、かなり僅差の、ハナ差アタマ差の惜敗だった気がしますが、今作『おひさま』はヒロイン井上真央さんがいきなりオファーキャスティングですから、オーディション惜敗とは、3人娘のもう一角=お嬢さま真知子役のマイコさんともども考えにくい。
『瞳』での純子役が好評だったから、というか、「まゆげネコのかぶりものダンスお疲れさま」のご褒美オファーかしら。朝ドラレギュラーのセカンドチャンスなら、今度こそヒロインにしてあげてもよかったような気もしますが。
先週の放送分でちょっと思ったのは、満島さん、演技力やキャラ立ち、キャラ立てには何の不安もないのですが、声がかすれ過ぎですね。『瞳』のときには気にならなかったのですが、今回の育子ははねっかえりでガラッパチ寄りの、「~だよ」「~しねえよ」言葉の女の子という設定にしても、要所要所でかなりザラッと耳障りなことがある。朝ドラヒロインは全国ネットで週6回朝一番のお付き合いですから、声が汚いというのは大幅に減点せざるを得ません。
そう言えば、『瞳』のローズマリーメンバー、由香役だった田野アサミさんも、のちに昼帯『夏の秘密』で気がついたのですが、毎朝出ずっぱり聞きずっぱりには向かないかもなハスキーヴォイスでした。脇でちょろっとアクセントをつける役回りなら、ヴィジュアル可愛くてかすれ声の女の子ってのも結構魅力的なんですけどね。
朝ドラヒロインって、こうしてみると、べし・べからずの条件が山のようにあって、オーディションで引っかかって最後のひとりになるのはものすごく大変そうです。選ばれるほうも大変だし、選んで、使うほうも同じくらい大変。井上真央さんや、前々作『ゲゲゲの女房』の松下奈緒さんのような、すでに一定の知名度も実績もある人の一本釣りキャスティングのほうが、お互いにのびのび仕事できるかもしれない。
『おひさま』劇中では育子さん、現在、東京女子大入試に挑戦中ですが、先週の放送ですでに、現在時制まで健在と判明。若尾文子さん扮する熟年陽子に「ひとりでどこへでもポンポン行っちゃう」とあきれられ、電話をよこしたのが「ガラ…パゴス?」。
考えオチですがちょっと笑いますね。ケータイのシリーズCMレギュラーの若尾さんに「ガラパゴス」言わせちゃいましたよ。
それはともかく、放送終了までに帰国して安曇野来るかな、熟年育子。顔出しがあるとしたら、演じる女優さんは誰かしら。
若尾さんと同級生年代というと、岡田茉莉子さんとか。目もとが満島さんの面影を宿さないかな。近年はお見かけするたび“怪老女”的風情になってますが。
黒柳徹子さんとか。怖いか、いろんな意味で。本当に同級生か。
池内淳子さん。「ひとりでどこへでも行っちゃう」イメージにぴったしだけど、惜しくも故人です。
そうだ、扇千景さんなんかどうでしょうね。元・参議院議長。初代国土交通大臣。若干、ヒョウタンからコマ的展開の上昇経路ながら、劇中で育子の目指す方向性と、やや重なるリアル人生を送っておられるような。4年前に政界は引退されましたが、もう芸能活動はされないのかしら。