書きたい事は続々あるのにやっと書けた時には旧聞も旧聞、ド旧聞になっているのがすでに常態化したこのブログ。御無沙汰していましたが元気ですか世の中。元気ですかネットの海。
とりあえず弁明の余地のない混じりっ気なしの旧聞からいくと、終わりましたねぇ『ごちそうさん』。まぁなんと取ってつけた感満載な世界友好エピソードと、余韻のヨの字もない秒読みカウントダウンのハッピーエンド最終週だったことか。あのブタさんは何処へ行っちゃったのでしょう。枠を飛び越えて『あさイチ』のジャパナビで全国各地のスーパーを回っていたりして。
悠太郎さん(東出昌大さん)が満州へ旅立った日の感慨からすると、もっと物語世界、登場人物世界の全体にふわっと抱擁されるような“大きな”ハッピーエンドでも良かったような気がしますが、め以子(杏さん)と夫婦水入らずで待望のチョコレートを解禁する、こじんまり大団円もそれはそれで良かったのかも。小卓袱台にめ以子が夫の留守中書きためて紙が無くなった報告事項の便箋束と、活っちゃん(西畑大吾さん)の遺品の手帳があったので、話さなきゃならない事の“必修科目”はクリアしてのラストシーンだったと思いたい。少なくとも源太(和田正人さん)はあまーーい再会を目視確認したようだし。通天閣に“約束”履行を無事伝えられて、源太としても肩の荷がおりたでしょう。荷がなくなるとなくなったでやがて淋しきなんとやらか。そのへんが19日(土)BSで放送のスピンオフ後日談でフォローされてるといいのですが。
いろいろ物足りないところはあれど、最終話までずっと源太がめ以ちゃんを好きでいてくれて、それだけで継続視聴した甲斐がありました。
全体的には、深いエピソード・重量感のある人物と、えらくあっさり通り一遍なパートとがかなり歴然と境界を分けながら混在して、そのせいであんまり過度に熱くならず過度に引っ掛かりを持たずに見続けられた、ある意味理想的な朝ドラだったと思います。一度も「しんどく」ならなかったですからね。
しんどくしない、あくまで家庭・家族・美味しく食べる・・を軸に柔らかめに仕立てた中でも、たとえば和枝姉さん(キムラ緑子さん)の西門家出戻りまでのつらい半生は細かい回想シーンのカット挿入でかなりゴリッと歯ごたえで、濃く伝えられていた。初婚の嫁ぎ先のお姑さん役、旦那さん役、僅かな登場ちょっぴりの台詞なのにものすごい情報量でしたねえ。「あんなことこんなことがあったからこういう人になったんだな」がこれほど納得性ある人物もほかにいませんでした。
源太除隊帰阪も、戦地でのトラウマから摂食障害・・の週にさらっと再々登場してさらっと退場した亜貴子さん(加藤あいさん)の半生なども、作家さんの持てる“毒っ気”がいい具合にちらついて軽く興趣をそそられました。亜貴子さんの人生の、ここの時点までにだけフォーカスしたら結構オドロなストーリーですよ。書きたい深めたい、でも朝ドラだからここまで。ドラマ的には“悠太郎抜き”の地平で自力で幸せをつかんだ時点で、亜貴子さんは退場で過不足ないのですけれどね。長話数の連ドラだと“尺を割けないので割愛”したと思しき箇所にこそ作り手の興味や嗜好がくっきりあらわれてくることがあるもので。
旧聞に徹すると決まったら(決まったのか)次回も行きましょう旧聞。
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