18日にリリースされていた『炎神戦隊ゴーオンジャー G3プリンセスG5プリンスProject‐Rスペシャルラップ』(←←左柱に期間限定掲示中)を先日やっと入手。背帯でボンパーちゃんが「ゴーオンジャーのラストアルバムだよ、ボンボン!!」と言っていることでもあるし、もー『ゴーオンジャー』関連支出はこれにて打ち止め!との決意をこめて購入。
全17曲中、いままで出たゴーオンアルバムに一度も収録されてない、真っ新曲はありません。1月リリースの『全曲集ソンググランプリ』にはなかったゴールド大翔(徳山秀典さん)作詞作曲曲歌の『miss you』だけは、月河個人はフル聴くのが初めてでした。劇中GP‐31ではロムビアコを巨大化させてしまう損な役回りに使われていましたが、文句なしの美声で美曲で、それはよろしい。
白眉は『全曲集ソンググランプリ』既収録ながら、今作、走輔・連・範人・軍平・大翔、それぞれのソロヴァージョンが併録された『君とギュッと♪』。
女子メンバーの早輝・美羽・ケガレシアの『G3プリンセスラップ』も各ソロヴァージョン初併録ですが、彼女たちはすでにそれぞれ『Smile×Smile』『夢の翼』『桃源郷(ユートピア)』というフルソロのキャラクターソングを歌っていますからね。大翔を除く野郎メンバーのソロ声が聴けるのはこれが最初で最後。マストバイです。『ゴーオン』関連支出のフィナーレを飾るにふさわしいアイテムではありませんか。
しかしね、『全曲集』の君ギュが、初聴き当時の記事にも書いた記憶があるけど、いい意味で“突き詰めない”、可塑性の高い楽曲・仕上がりだったことだし、ソロ版となったら、歌唱者ごとに歌詞なり、後半のラップパートなり、あるいはアレンジなり、若干でも変えてくるんじゃないかと、普通思いますわね。…思うでしょ?それが、全然違った。 詞もラップも一字一句全員同じ(爆)。 後半、11曲目から15曲目まで、まったく同じ詞の、同じ曲の、同じアレンジを野郎5人が1人ずつ、点呼取るかのようにだーーーっと歌い、だーーーっとラップする(倒)。 なんかね、オーディションの一段階を聴いてるよう、と言うか、…言っちゃっていい? …新手の罰ゲームみたい(炎)。 勘違いしないでくださいよ。コレ、「聴くに耐えない」とか「企画が安直」とかのケナシの意味じゃないですから。 むしろ真逆。「『ゴーオン』は男子メンバーのオリジナルソロキャラソンは作らないのかよぉー、毎戦隊あったのに手抜きだなあ」「ひとりずつの違ったカッコよさをフィーチャーしてくれたっていいじゃん」と思った、そのニーズとウォンツに対する、ひとつの見事な答えになっています。 歌詞もラップもアレンジも同じ曲を全員ひとりずつ歌うほうが、キャラの違いも役者さんの個性もずっと際立つものなんですね。オーディションの一段階を聴くようと言ったのはそういうこと。 意外にいちばんアイドルらしい“男のぶりっ子”声なのが走輔(古原靖久さん)。連(片岡信和さん)は“声のいいシロウトのおにいさん”風、範人(碓井将大さん)は“ツッパリキャラでないマッチ(近藤真彦さん)”と言うか、“声量のあるひかる一平”と言うか…既存の何かに喩えようとすればするほどドツボるな。 これまた意外に、声質・歌唱の持ち味と楽曲がいちばんナイスフィットしているのが軍平(海老澤健次さん)だと思います。「オレ、歌なんてあんまり…」という、ほどの良い腰の引け具合が、曲とキャラに出会いがしらジャストミートしたんでしょうな。沖縄生まれのリズム感とでも申しましょうか、ラップ部分がいちばんラップらしく聞こえるのも彼です。 ちなみに、中学校の国語の先生がラップしているような、連の当該パートもキャラ通りで必聴。 この曲のソングライターでもある大翔の歌唱が、もひとつ意外にも曲と不思議に合ってない感じなのもおもしろい。徳山秀典さんはすでに歌手活動も経験されているだけに、歌いっぷり自体はこなれているんですが、「自分が歌いやすいように」作った曲ではなかったんでしょうね。とにかく突き詰めてないのが味の楽曲ですから、声質が、と言うより唱法が曲に比べて本格的過ぎるんだと思う。大袈裟に言えば、千の風の秋川雅史さんがサザエさんのテーマを歌ってるような、そういう合わなさです。ラップも連と比べると北極と南極ぐらい手慣れているけど、もっとハードな、社会的な内容のラップのほうが合っていそう。徳山さんご本人は曲作りも含めて、この突き詰めなさを心から楽しんだことでしょう。 アルバムとして欲を言えば、ラストを飾る『炎神スペシャルラップ』のファーストからセカンド、セカンドからサード…のつなぎ方がちょっと芸がなかったかな。冒頭ウイニングランのイントロからファーストに入るので、締めのウイニングラン部分をもっと盛り上げるアレンジにしてもよかった。『全曲集』に、分けて収録されている炎神ラップを、とりあえずぶっ通しで聴きたいという向きは多そうなので、企画としては親切な狙いでしょう。 裏ジャケ写のバックの青空が、この季節のリリースにふさわしくいい感じ。戦いの後の砂塵さえも春霞に見える。『ゴーオンジャー』を1話も欠かさず完視聴した人、DVDも揃えようとしている熱心なファンには薦めるまでもありませんが、序盤でも途中でも、何話か観たけどあまりピンとこなかった人、前年までの戦隊シリーズの中では『ゴーオン』って好みじゃないやと思った人こそ、聴いたらきっと、知らなかった楽しみ方に気づくんじゃないかと思います。絶対笑うから。嘲笑うんじゃなく、幸せに笑うから。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます