イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

来る来るパーティー

2010-10-22 19:23:50 | テレビ番組

なるほど、熊本県あるいは熊本市に、同県外同市外から人が来ることを、地元の人は「来熊」と言うのね。

今日(22日)の『あさイチ』プレミアムトークゲストが東京大学大学院教授姜尚中(かん・さんじゅ)さんで、熊本出身の姜さんへの番組恒例“○○県人度テスト”でやってました。さすが姜さん、ちゃんと読めて、実際使うそうですね「らいゆう」

……なんだか、先日からクマづいていますぞ。

地元の県名地名のアタマ1文字に“来”を付けて、「遠方からわが地元まではるばる、わざわざ」「お待ちしておりましたようこそ」的ニュアンスを出す造語には、基本に“距離感”、あるいは“辺境感”があります。

月河の地元周辺で言うと、“北海道に来る”ことを、北海道民目線で「来道(らいどう)」とは言います。地元ローカル紙やTVラジオ局が完全に常用している。北海道の中心、札幌市に来ることを、同市民目線で「来札(らいさつ)」も言う。札幌市を離れて、北海道内他地域や郡部に出張し、再び札幌に戻るとなると「帰札(きさつ)」、これも言います。帰札帰札帰札。ラテンの名曲はキサスキサスキサス。

日本テレビの廃止された2時間ドラマ枠は火サス。

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…北海道の札幌以外ではどうかと言うと、美川憲一さんの『釧路の夜』でおなじみ釧路では「来釧(らいせん)」と普通に言うそうです。函館で「来函(らいかん)」を言うとも聞いたことがある。むしろ、青函連絡船全盛の頃、青森側目線で「渡函(とかん)」のほうが一般的だと聞いたような気もする。

北海道であと目ぼしいとこと言うと、三浦綾子さん作で映画などにもなった『氷点』でおなじみ旭川、故・中川昭一さんのお膝元帯広などですが、「来旭(らいきょく)」「来帯(らいたい)」は言うかどうか。中央からの距離感ではいちばんと思われる、日本最北端の稚内で「来稚(らいち)」なんてちょっとありそうですが、到底なさそうでもある。皮が固いけどシャーベットにするとおいしいのはライチ。

(…………………………)

……えー、海峡ひとつ分だけ東京に近いと言えば近い、東北地方北部の皆さんはどうなんでしょうか。「来青(らいせい)」「来岩(らいがん)」「来秋(らいしゅう)」なんて言いそうもないですね。来秋と言えば、普通に「来年の秋」を指す日本語ですしね。ライガンなんつったら、悪性の病気みたいで、小沢一郎さんが怒ってもみ消しそうです。

もうちょっと南下して、宮城県は杜の都・仙台では「来仙(らいせん)」を言うと聞いたことが昔あるようなないような。もひとつ南下して福島で「来福(らいふく)」を言ってくれると縁起がいい感じでちょっと嬉しいけど、福井や福岡の立場がないか。そもそも福島辺りまで南に行くと、距離的にも時間的にも“関東地方の北のほう”ぐらいの意識で、“来○”式の造語を採用する心理的必要性がないかもしれない。

NHK朝ドラ『てっぱん』のあかりちゃん(瀧本美織さん)はなんやかやでベッチャー初音(←ラッシャー板前みたいだな。富司純子さん)ばあちゃんと同居、下宿人息子の民男くん(まえだまえだ兄=前田航基さん)のバースデイにこと寄せて、下宿人一同で食卓を囲むプチホームパーティーにまんまと同席させるなど、徐々に軟化政策に成功しつつありますが、初音さんの中では「尾道から、認めたわけじゃない孫が“来阪(らいはん)”」という意識なのか。あかりちゃんは「“渡阪(とはん)”したった」と思っていたかどうか。

東京基準で「上京」「帰京」「在京」はよく耳目にしますが、阪神タイガースやかつての近鉄バファローズ、南海ホークスなどを「在阪(ざいはん)球団」とは言っても、「帰阪」「来阪」はあまり一般的ではないような気がするのは、月河が関西ベースで生活したり、関西人たちメインの人間関係を持ったりしたことがないからかな。

とりあえずネイティヴ京都人の皆さんは、東京に行くことを「上京」とは言わないのは確かでしょう。「京」はあてらのものどすさかい。中央競馬の春のクラシックシーズンになると「関西の秘密兵器、東上初見参!」なんて見出しをよく目にしますが、馬と人は違うしね。

いずれにしても、“来○”“渡○”“帰○”式の造語は、「日本の中心(=東京)からはとても距離のある、文化的にも意識的にも顕著に差異のあるわが地元」というローカルコンセンサスあってこそ成立するものだと思います。東京から通勤圏内にあり、どっからがあっちでどこまでがこっちかがよくわからない地続き感のある、千葉や埼玉や群馬で「来千(らいせん)」もしくは「来葉(らいよう)」「来埼(らいさい)」、「来群(らいぐん)」とは言わないでしょうしね。ライサイなんてむしろ、甲子園の応援でおなじみの沖縄のおじさんのようだし、来群なんつったら、ニシンがたくさんとれるみたいだし。あれからニシンはどこへ行ったやら。破れた網は問いさし網か。いまじゃ浜辺でオンボロロ、オンボロボロロー。歌わなきゃ済まないブログになってしまったな。

それはともかく、姜さんの地元熊本で「来熊(らいゆう)」を言うなら、もひとつ南の鹿児島では「来鹿(らいか)」って言いそうですが、あこがれのカメラのブランドみたいになるので、そこはひとつ、薩長同盟の薩摩ですから、「来薩(らいさつ)」と言ってほしいと、坂本龍馬も言うちゅうぜよ(…………)。

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