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CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

買っちまった~!

2016年02月20日 | 特になし
今日はレコードの規格について話をしてみたい。

19世紀末に円盤型のレコードと蓄音機が発明されたのであるが、当初はレコードの規格はばらつきがあったようで、工業製品として世に出していくには、規格を統一する必要があった。その後にサイズが12インチで78回転のレコード規格へと収斂されていく。20世紀の中頃、新たな技術によって、12インチのサイズで33-1/3回転のレコードの登場となった。

それによって2つのレコードの規格が誕生し、78回転のものをSP(スタンダード・プレイ)と呼び、後者は、回転数が従来の半分以下と低いことから長時間の収録が可能となり、LP(ロング・プレイ)と呼ばれることになった。

しかしながら、より良い材質の使用などを含めたLP盤の圧倒的な性能によってSP盤は消えていく運命となる。

同じ頃、両面合わせて2曲のみ収録し、コンパクトでかつ音質も良いとされる、45回転の7インチ盤が世に出た。これがシングル盤である。

そして、カッティング技術がさらに進化し、音質をそれほど落とさずに45回転の7インチ盤の収録時間を延ばすことが出来るようになり、片面に長尺もしくは2曲程度の楽曲を収録する規格であるEP(エクステンデッド・プレイ)が誕生した。

これ以外に、収録曲を表裏の両面で4曲に絞り、7インチのサイズで33-1/3回転の規格のレコードをコンパクト盤と呼ぶ。

LPが高価であった時代、収録曲数は少ないが安価で購入することが出来るので一定の人気はあった。特に日本の場合は、レコードの値段が非常に高く、60年代後半から70年代全般にかけては、平均月収が10万円を割る時代に、一枚千五百円から二千円もするLPを買ってと言われても中々手が出ない時代であり、コンパクト盤の需要があったと考える。

但し音質としては、7インチ盤にカットされる場所がLPで言うとレーベル面に近い内周部になり、レコード針で溝をトレースする線速度は12インチLPの外周部と比べると遅くなるため音質はLP音源やシングル盤と比べると良くないという欠点がある。

日本では、両面で計4曲を収録する場合は、45回転の7インチ盤であるEP規格ではなく、33-1/3回転の規格に統一され独自に製作されたみたいである。

一番身近なところでは、ビートルズの英盤EPは33-1/3回転で会ったが、日本では45回転のコンパクト盤である時期まで製作された。

マジカル・ミステリー英国再発EP盤、45回転

マジカル・ミステリー日本再発コンパクト盤、33-1/3回転

アメリカでは、7インチのサイズは家庭だけでなくジューク・ボックスで使用されることも多いので、規格外のEPやコンパクト盤の需要はあまりなかったのではないかと思う。

レコードの中での規格闘争で勝ち抜いたLPとシングル盤であったが、CDの登場で風前の灯、さらにダウン・ロードやストリーミングなどの配信により、息絶えたと思いきや、最近レコードの売り上げが伸びてきている。全盛時代のそれと比べると微々たるものの、今に時代にあって売れ行きが伸びているのは不思議なこと。

マニアに言わせれば、レコードの音は柔らかく温かみのある音となるのであろうが、私の場合はその存在感にあると言える。そこそこの再生機器を使い耳を凝らして聴けば、その違いがわかるのであろうが、私の老いた駄耳とオンボロ・オーディオでは果たしてそこまで言い切れるのかな?

と、ここまでいつもの長いフリのあまり意味のないうんちくを披露したのだが、今日の本題は、“やっちまったー”である。何を“やっちまったー”かと言うと“買っちまったー”である。

ああー、これね! じゃ、早速開封の儀を執り行い、最新リマスターのハイウェイ・スターでも爆音で聴こうじゃありませんか~

パープル7枚組LPボックス・セット、再結成の2枚のアルバムが最新リマスターで再発されたのがこのボックスの売り。どうゆうわけか、IN ROCKとFIREBALLが漏れている。

いやー、ちょっと。一旦開封すると何だか存在感がなくなるみたいで。今度、心が落ち着いて一息入れたところで、その儀を執り行いたいと~

右手が勝手に通販のサイトをオープンし、購入のボタンをプチっといっちゃったんです。左手でそれを抑えようと試みたのですが…

またまた、無駄遣いしちゃってすみませんでした。あの~、明日から卵かけ御飯お願いします。

“おっさん達 OF THE CANYON”の人生って! サークル・ゲーム

2016年02月20日 | SSW

ジョニ・ミッチェルといえば、柔らかなソプラノボイスをシンプルなアコースティックサウンドに乗せて、独特な節回しで自作曲を歌うカナディアン女性シンガー・ソング・ライターである。

当初はフォーク調の曲が主であったが、その後ジャズ・ミュージシャンを起用しジャズ風なアルバムを制作するなどフォークとジャズの領域をクロス・オーバーするとでも言うべきか、彼女独自のスタイルを構築していった。そして、つい数年前までアルバムを出し音楽活動をしていたようだが、最近脳動脈瘤という大病を患い病院に入院していたらしく心配なところである。

1970年に発表されたアルバムにLADIES OF THE CANYONがある。そのアルバムの最後を飾るサークル・ゲームという歌はいつ聴いても瑞々しく感じる。

同年に60年台後半の学生運動の走りとでも言える回想を記録した、いちご白書(STRAWBERRY STATEMENTS)というノン・フィクションの本が映画化された。

その映画の主題歌に、パフィー・セント・マリーという女性歌手によるサークル・ゲームのカバーが使用された。映画を見た人はこちらのバージョンがしっくりくるかもしれないが、私としてはシンプルなアコースティック・ギターの伴奏でゆっくり目に歌われる、ジョニのオリジナル・アルバム・バージョンを押したい。

一般的に言われる平均年齢の半分をすでに通り越し、残りの人生が今まで生きてきた時間よりはるかに少なくなると、どうしても昔のことに回帰する傾向があるように思える。もちろん歳を取っても過去のことは一切振り返らず、前に見えることだけに全力を注ぐポジティブな考えを持った方もいるのではあろうが、私としては、この手の曲を聴くとどうしてもノスタルジックなムードになってしまう。

ゆっくりした、ジョニ・バージョンをどうして薦めるのかというと、この曲はメロディーも秀逸だが、歌詞も示唆に富み重要で、歌詞カードで言葉をゆっくりした歌唱に合わせて追っていくと、結構頭に内容がストレートに入ってくるのである。

リフレインのパートで、

And the seasons they go round and round(そう、季節は巡り巡って過ぎ去る)
And the painted ponies go up and down(木馬もアップ・ダウンを繰り返しながら)
We're captive on the carousel of time(時の回転木馬に囚われたみたいに)
We can't return(元に戻ることはできない)
We can only look behind from where we came(今来た道から振り返れるだけ)
And go round and round and round(そう、巡り巡って過ぎ去る)
In the circle game (サークル・ゲームみたいに)

二番の歌詞のところで、

Sixteen springs and sixteen summers gone now(16回目の春と夏が過ぎ去り)
Cartwheels turn to car wheels thru the town(おもちゃのカートから街を通り抜ける自動車へと)
And they tell him,(みんなは彼に言う)
Take your time, it won't be long now(ゆっくり楽しみな、今の時はそれほど長くはないよ)
Till you drag your feet to slow the circles down(足を引きずらしてまで、時の歩みをスローダウンさせようとする迄のことさ)

三番の歌詞は、

So the years spin by and now the boy is twenty(時は過ぎ去り今や二十歳となる)
Though his dreams have lost some grandeur coming true(幾らかの夢は失うも、素晴らしきことも現実となる)
There'll be new dreams, maybe better dreams and plenty(新しい夢、多分より良きものでそして数多くあるだろう)
Before the last revolving year is through(大人になる最後の年を過ごす迄には)

人生にアップ・ダウンは付き物で色々な困難に直面することはあるだろうけれども、希望を持って人生のサークル・ゲームを続けようというメッセージなのか、そこに絶望という文字は未だ見あたらない。

それもそのはず、ジョニは当時27歳で、まだ人生の後半を展望できる年齢には達していなかった。もし出来るなら、今20歳を過ぎてから中高年に至るサークル・ゲームなるものを聴いてみたいものだ。

と! 不意にバック・グラウンドに“二人だけのメモリ~♪ どこかでもう一度~♪♪”とバンバンのヒット曲“いちご白書をもう一度”がしんみりと流れる。

助手:博士!さっきからなぜ遠くの景色をじっと眺めているのですか? 老眼防止のトレーニングですか? 遠くの緑生い茂る山並みを見ていると眼に良いと言いますからね~

博士:バッカモ~ン!

回転木馬の木馬がアップ・ダウンするがごとく、山あり谷ありだった遠い昔に思いを馳せておったのじゃよ。過去に戻ることは出来ずとも、あの時こうすればよかったなどと省りみて、これからに繋げる事は出来るかも知れん。

とは言え、山といっても小高い丘の上に登ったのが精一杯じゃったし、ほとんど谷底じゃった。

助手:なるほど、優雅なイメージの“LADIES OF THE CANYON”ではなく“おっさん達 OF THE CANYON”となんかむさ苦しい響きが伝わるような人生だったわけですね。

Joni Mitchell - The Circle Game