後輩にモノを教えるのぐらい苦手なことはない。
絶対に私は教師には向いていないと思う。
そもそも人とのコミュニケーションが苦手。
…こんな私がどうして販売員をしていたんだろうと思うぐらい。
「来週の月曜日、あの仕事を彼に教えてあげてね」
そう吉熊上司から言われた13日の金曜日夕方から、軽く鬱だった。
しかも、その仕事が「言葉に表すことが難しい」仕事。
いつもスピーディさを求められるがゆえ、自ら工夫をしてきた。
私にしかわからない謎のマニュアルとか作成してきた。
しかし、困ったことに、肝心な「どうしてこの作業をするのか?」という基本的なことを考えずに今まで「ただ早く」やってきてしまった。
疑問よりスピード、ただ早くやればいいんだと思ってきていた。
朝、あまりにも激しく動悸が鳴るので、ソラナックスを追加した。あー嫌だ嫌だ。逃げ出したい…。
「早く教えてあげてよ!」
と、痺を切らした吉熊上司に急かされ、渋々彼にレクチャーを始める。
「どうしてこの科目は非課税なんですか?」とか訊かれたらどーしよう…。
そんな心配をヨソに、新人後輩君はおとなしく聞いていてくれた。
「この科目にはこんな経費があるんですねぇ」
「僕にも少しやらせてください」
なかなか素直なコである。
しかし、やはり私には分からないことを尋問された。
目を泳がせながら、その都度、吉熊上司に訊いて納得。
「あんな感じで良かったんですか?」
終了後、吉熊上司に尋ねた。
「いいんじゃん。で、分かったでしょ?人に教えると、自分がいかにただ単に仕事をしてきたことがさ」
ごもっとも。
そっ啄(「そったく」…「そっ」は口偏に卒、漢字変換できなかった)とは、卵の中にいる雛鳥が中から、母鳥が外から殻を突くことである。
そのタイミングがずれると、雛は死んでしまう。
師弟関係でよく用いられる言葉である。
両者の「させたい」「やりたい」という気持ちが絶妙のタイミングで合致したとき、うまくいくという教えだ。
雛鳥である私の機が熟しているかどうかは判断できない。
しかし、親鳥である吉熊上司が卵の殻をコツコツと突いてくれた音を確かに聞いた。
だから雛鳥亮子は、内側から殻を破っていかないといけないんである。
頑張ろう。
絶対に私は教師には向いていないと思う。
そもそも人とのコミュニケーションが苦手。
…こんな私がどうして販売員をしていたんだろうと思うぐらい。
「来週の月曜日、あの仕事を彼に教えてあげてね」
そう吉熊上司から言われた13日の金曜日夕方から、軽く鬱だった。
しかも、その仕事が「言葉に表すことが難しい」仕事。
いつもスピーディさを求められるがゆえ、自ら工夫をしてきた。
私にしかわからない謎のマニュアルとか作成してきた。
しかし、困ったことに、肝心な「どうしてこの作業をするのか?」という基本的なことを考えずに今まで「ただ早く」やってきてしまった。
疑問よりスピード、ただ早くやればいいんだと思ってきていた。
朝、あまりにも激しく動悸が鳴るので、ソラナックスを追加した。あー嫌だ嫌だ。逃げ出したい…。
「早く教えてあげてよ!」
と、痺を切らした吉熊上司に急かされ、渋々彼にレクチャーを始める。
「どうしてこの科目は非課税なんですか?」とか訊かれたらどーしよう…。
そんな心配をヨソに、新人後輩君はおとなしく聞いていてくれた。
「この科目にはこんな経費があるんですねぇ」
「僕にも少しやらせてください」
なかなか素直なコである。
しかし、やはり私には分からないことを尋問された。
目を泳がせながら、その都度、吉熊上司に訊いて納得。
「あんな感じで良かったんですか?」
終了後、吉熊上司に尋ねた。
「いいんじゃん。で、分かったでしょ?人に教えると、自分がいかにただ単に仕事をしてきたことがさ」
ごもっとも。
そっ啄(「そったく」…「そっ」は口偏に卒、漢字変換できなかった)とは、卵の中にいる雛鳥が中から、母鳥が外から殻を突くことである。
そのタイミングがずれると、雛は死んでしまう。
師弟関係でよく用いられる言葉である。
両者の「させたい」「やりたい」という気持ちが絶妙のタイミングで合致したとき、うまくいくという教えだ。
雛鳥である私の機が熟しているかどうかは判断できない。
しかし、親鳥である吉熊上司が卵の殻をコツコツと突いてくれた音を確かに聞いた。
だから雛鳥亮子は、内側から殻を破っていかないといけないんである。
頑張ろう。