先日、人生の10曲について書いたのだが、今日は「人生の10冊」、本について書いてみよう。
1.「ドラえもん 3巻」
小学生中学年のときに従兄弟の直ちゃんからもらった。それまで漫画すら読まず、親は「こんなに本を読まないなんて大丈夫なのだろうか」と心配していたらしい。
私の読書の起源は、そう、ドラえもんだったのである。表紙がなくなってしまった。
2.「兎の目」(灰谷健次郎)
小学5年生のときに父の本棚から拝借。当時の担任のフクダ先生が読書をさせる習慣を徹底的に叩き込んでくれた。私が初めて読んだ小説。
ゴミ処理所がある工業地帯の小学校で一年生を担当する新米女性教師の奮闘を描いた話。小谷先生と蝿にしか興味を示さない鉄三。正直、小学生のときに読んだときはなんとも思わなかったのだが、就職してから再読したとき、涙が出た。
3.「放課後の音符」(山田詠美)
高校時代、やはり父の本棚から拝借。女学生の主人公の一人称で書かれた文章に共鳴し、そして主人公の上品な考え方に憧れを抱いた。私を大人にしてくれた一冊。私が飲み会でジントニックを好んで飲むのはこの小説のせい。
4.「葡萄が目にしみる」(林真理子)
中学か高校時代、定期テスト以外の国語の問題文で引用されていて、早く続きが読みたいとテストの帰りに書店で購入。私と林真理子先生の出会い。
山梨の女子高生の視点が鋭く描かれている。
5.「白き旅立ち」(渡辺淳一)
日本の志願解剖第一号は遊女だった。その遊女・美幾がいじらしくていい娘だった。美幾がなぜ腑分けを志願したのかが切なく描かれている。腑分けで愛を訴える・・・悲しい話なのだが読了後はとても清々しい気持ちになった。
6.「はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話」(川口 淳一郎)
はやぶさのプロジェクトマネージャの川口淳一郎先生とはやぶさの絆が読んでいてぐっと胸に来る。
技術的なことも分かりやすく噛み砕いて書いてあるので非常に読みやすかった。
作中に書かれている、大気圏再突入時に先生が詠まれた歌
「まほろばに 身を挺してや 空纏う 産のかたちに 未来必ず」
を思い出すたびに涙が出てきそうになる。
7.「戦争特派員」(林真理子)
もう何度も読んだ。ファッション業界のMDをしている主人公がベトナム戦争の特派員だった梶原に恋する話。この作品が好きすぎて今年の夏、ホーチミンに行ってしまうぐらい読み込んだ。男女の駆け引きが丁寧に描かれている。
8.「女徳」(瀬戸内寂聴)
この日の日記に感想をしたためた。
2009年12月3日「女徳」(瀬戸内寂聴)
まず強烈なストーリーに心が惹かれていったが、何より描写の美しさに圧巻。
9.「ツ、イ、ラ、ク」(姫野カオルコ)
舞台は滋賀県。主人公・隼子および他の登場人物たちが小学生の頃から話は始まる。加齢していくうちに、隼子と教師が浮き彫りになっていき、カメラの焦点が合わさっていくように恋に落ちていく二人の様子が描かれる。
これほどまでに、読み進めていくのが「もったいなくて辛い」と思った作品は無い。
恋はするものでなくて落ちるもの・・・をまざまざと体験した。本作品で。
10.「カフェー小品集」(嶽本野ばら)
実際にある(今は閉店してしまった)カフェーを舞台にした短編集。
何度も何度も読み返した。この本を持参して登場しているカフェーを巡る「聖地巡礼」をするぐらい好き。
私が持っているのはサイン本だからブックオフでは売れないだろう。
だから、死んだらこの小説を棺に入れてほしい。
番外編:
「対岸の彼女」(角田光代)
これを入れたかったのだが、10作品には収め切れなかった。
既婚者の女性と独身者の女性の対比だけだと思っていたのだが、角田先生はその上をいってらした・・・。
「恋ほおずき」(諸田玲子)
江戸時代、浅草田原町の女医者・江与の話。
時には堕胎を施すこともある彼女は、あろうことか女医者を取り締まる同心との恋に落ちてしまう。
自分の仕事は正しいのだろうかといつも考えている彼女だが、最後「たとえ答えが出ず、迷いのまま終わっても、目をそむけずに真摯に心に問う」と悟る。
その境地に至るまでが難しいよな、と同じような境遇に立つとき、いつも思う。
「木橋」(永山則夫)
N少年の網走、板柳での悲惨な生い立ちがただただ痛い。獄中で、読み書きも困難な状態から独学で執筆活動を開始したとは思えぬ文章の巧さに脱帽。
木橋(幡龍橋)や板柳を体感したくて、昨年の夏、実際に板柳を訪れた。夕方、雨上がりの厚い雲に覆われたあの町を歩いているとき、物陰からN少年がこちらを眺めている視線を感じた。
人生の10冊を選ぶってなかなか難しい。
まずチョイス。本棚に向かって「これもいいんだけどな」などとぶつぶつ言いながら1時間。
そしてブログに書くのだが、中には「人生に多大な影響を与えてくれたんだけど・・・詳細は忘れた」というものもあり、マジ読みしそうになる。
気づいたらこんな時間になってしまった。
「つまみ食いこそ読書の魅力」だと言うが、つまみ食いしすぎてお腹いっぱい。
1.「ドラえもん 3巻」
小学生中学年のときに従兄弟の直ちゃんからもらった。それまで漫画すら読まず、親は「こんなに本を読まないなんて大丈夫なのだろうか」と心配していたらしい。
私の読書の起源は、そう、ドラえもんだったのである。表紙がなくなってしまった。
2.「兎の目」(灰谷健次郎)
小学5年生のときに父の本棚から拝借。当時の担任のフクダ先生が読書をさせる習慣を徹底的に叩き込んでくれた。私が初めて読んだ小説。
ゴミ処理所がある工業地帯の小学校で一年生を担当する新米女性教師の奮闘を描いた話。小谷先生と蝿にしか興味を示さない鉄三。正直、小学生のときに読んだときはなんとも思わなかったのだが、就職してから再読したとき、涙が出た。
3.「放課後の音符」(山田詠美)
高校時代、やはり父の本棚から拝借。女学生の主人公の一人称で書かれた文章に共鳴し、そして主人公の上品な考え方に憧れを抱いた。私を大人にしてくれた一冊。私が飲み会でジントニックを好んで飲むのはこの小説のせい。
4.「葡萄が目にしみる」(林真理子)
中学か高校時代、定期テスト以外の国語の問題文で引用されていて、早く続きが読みたいとテストの帰りに書店で購入。私と林真理子先生の出会い。
山梨の女子高生の視点が鋭く描かれている。
5.「白き旅立ち」(渡辺淳一)
日本の志願解剖第一号は遊女だった。その遊女・美幾がいじらしくていい娘だった。美幾がなぜ腑分けを志願したのかが切なく描かれている。腑分けで愛を訴える・・・悲しい話なのだが読了後はとても清々しい気持ちになった。
6.「はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話」(川口 淳一郎)
はやぶさのプロジェクトマネージャの川口淳一郎先生とはやぶさの絆が読んでいてぐっと胸に来る。
技術的なことも分かりやすく噛み砕いて書いてあるので非常に読みやすかった。
作中に書かれている、大気圏再突入時に先生が詠まれた歌
「まほろばに 身を挺してや 空纏う 産のかたちに 未来必ず」
を思い出すたびに涙が出てきそうになる。
7.「戦争特派員」(林真理子)
もう何度も読んだ。ファッション業界のMDをしている主人公がベトナム戦争の特派員だった梶原に恋する話。この作品が好きすぎて今年の夏、ホーチミンに行ってしまうぐらい読み込んだ。男女の駆け引きが丁寧に描かれている。
8.「女徳」(瀬戸内寂聴)
この日の日記に感想をしたためた。
2009年12月3日「女徳」(瀬戸内寂聴)
まず強烈なストーリーに心が惹かれていったが、何より描写の美しさに圧巻。
9.「ツ、イ、ラ、ク」(姫野カオルコ)
舞台は滋賀県。主人公・隼子および他の登場人物たちが小学生の頃から話は始まる。加齢していくうちに、隼子と教師が浮き彫りになっていき、カメラの焦点が合わさっていくように恋に落ちていく二人の様子が描かれる。
これほどまでに、読み進めていくのが「もったいなくて辛い」と思った作品は無い。
恋はするものでなくて落ちるもの・・・をまざまざと体験した。本作品で。
10.「カフェー小品集」(嶽本野ばら)
実際にある(今は閉店してしまった)カフェーを舞台にした短編集。
何度も何度も読み返した。この本を持参して登場しているカフェーを巡る「聖地巡礼」をするぐらい好き。
私が持っているのはサイン本だからブックオフでは売れないだろう。
だから、死んだらこの小説を棺に入れてほしい。
番外編:
「対岸の彼女」(角田光代)
これを入れたかったのだが、10作品には収め切れなかった。
既婚者の女性と独身者の女性の対比だけだと思っていたのだが、角田先生はその上をいってらした・・・。
「恋ほおずき」(諸田玲子)
江戸時代、浅草田原町の女医者・江与の話。
時には堕胎を施すこともある彼女は、あろうことか女医者を取り締まる同心との恋に落ちてしまう。
自分の仕事は正しいのだろうかといつも考えている彼女だが、最後「たとえ答えが出ず、迷いのまま終わっても、目をそむけずに真摯に心に問う」と悟る。
その境地に至るまでが難しいよな、と同じような境遇に立つとき、いつも思う。
「木橋」(永山則夫)
N少年の網走、板柳での悲惨な生い立ちがただただ痛い。獄中で、読み書きも困難な状態から独学で執筆活動を開始したとは思えぬ文章の巧さに脱帽。
木橋(幡龍橋)や板柳を体感したくて、昨年の夏、実際に板柳を訪れた。夕方、雨上がりの厚い雲に覆われたあの町を歩いているとき、物陰からN少年がこちらを眺めている視線を感じた。
人生の10冊を選ぶってなかなか難しい。
まずチョイス。本棚に向かって「これもいいんだけどな」などとぶつぶつ言いながら1時間。
そしてブログに書くのだが、中には「人生に多大な影響を与えてくれたんだけど・・・詳細は忘れた」というものもあり、マジ読みしそうになる。
気づいたらこんな時間になってしまった。
「つまみ食いこそ読書の魅力」だと言うが、つまみ食いしすぎてお腹いっぱい。