ドラマ「プリズナーNo.6」(1967年イギリス)のなかでパトリック・マクグーハンの村からの脱出アイテムとして登場したものにハーフサイズカメラのキヤノン ダイヤル35やストップウォッチがあった。なかでもストップウォッチはニコニコ顔の特徴的な意匠もありいつかは入手したいと思っていた。それからことあるごとに似たようなストップウォッチを探し続けていた。ようやく見つけたのがドイツの時計メーカーであるユンハンスのそれ。愛嬌のあるダイヤルは1/10secまで計測可能。しかしレアなヴィンテージ時計ゆえeBayなどで見かけても高価でなかなか手が出なかった。今回入手したものは綺麗ながらも不動品ジャンク。早速、状態を確認したところリューズはスカスカで手応えなし。発条切れ、巻芯折れなど嫌な予感がする。裏蓋を開け機械をケースから降ろすとポロリと歯車が転がり落ちた。どこの歯車かと見ればキチ車だった。以前誰かに分解されたときしっかり組上げられていなかったようだ。故障の原因が単純なもので安堵する。テンプをはじめとする軸受けに注油して正しく組み直す。はたして小気味よくクロノグラフが生き返る。1/10sec計測はベンツのスリーポインテッドスターのような三本針がマスク部分から次々と出現してくる仕組みが面白い。これでようやく脱出準備は整った。
運針動画
このストップウォッチもマックス・ビル(バウハウス)のデザインかも知れない。
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このストップウォッチもマックス・ビル(バウハウス)のデザインかも知れない。