作家の秋山真志さんのお誘いで、鎌倉の「ひろみ」で天丼を食べたことを告白しておかねばなるまい。
このお店は往年の鎌倉文士や映画屋さんが通った店ということで、小津安二郎監督が選んだネタだけが載っている「小津丼」、小林秀雄さんが選んだもの=アナゴ、魚、かき揚げが載った「小林丼」が、それぞれお二人の生誕百年のさいに、ご遺族の承諾を得て、裏メニューから表メニューになったのだという。
小津安二郎監督がアタマをツマにして酒を飲んでいたという「小津丼」はクルマエビ等が載っているということだったが、アナゴ好きの瀬戸内出身者としては、「小林丼」を選んだ。野菜(精進揚げ)やエビを拒んだ小林秀雄先生の心中は知る由もないが、おおいに賛同できる内容であった。
これぞ天丼、という醍醐味だった。江戸前といえば江戸前ということらしいが、魚もアナゴも柔らかく、衣が硬くなく薄くて好みである。しかも衣の質感はむしろ極めて肯定的に確実に口の中に残る。今まで食べたことのある天丼とは明らかに違うものだ。もうよそで天丼を食べたくない(次に鎌倉に来られるのがいつか、この店に寄る機会があるのか、コストパフォーマンス的にどうなのかという点で困難を伴うため、そんなことを呟いても、とうてい無理なのだが)。
さすが文士の裏メニュー、睡眠時間二時間半で原稿を仕上げたばかりの身には、染みた。
ただの食いしんぼではない。鎌倉文化に触れたのだ、と胸を張っておこう。
食べ物写真はなるべくアップしないという方針を破り、文化財保存ということで、例外的に掲載。
このお店は往年の鎌倉文士や映画屋さんが通った店ということで、小津安二郎監督が選んだネタだけが載っている「小津丼」、小林秀雄さんが選んだもの=アナゴ、魚、かき揚げが載った「小林丼」が、それぞれお二人の生誕百年のさいに、ご遺族の承諾を得て、裏メニューから表メニューになったのだという。
小津安二郎監督がアタマをツマにして酒を飲んでいたという「小津丼」はクルマエビ等が載っているということだったが、アナゴ好きの瀬戸内出身者としては、「小林丼」を選んだ。野菜(精進揚げ)やエビを拒んだ小林秀雄先生の心中は知る由もないが、おおいに賛同できる内容であった。
これぞ天丼、という醍醐味だった。江戸前といえば江戸前ということらしいが、魚もアナゴも柔らかく、衣が硬くなく薄くて好みである。しかも衣の質感はむしろ極めて肯定的に確実に口の中に残る。今まで食べたことのある天丼とは明らかに違うものだ。もうよそで天丼を食べたくない(次に鎌倉に来られるのがいつか、この店に寄る機会があるのか、コストパフォーマンス的にどうなのかという点で困難を伴うため、そんなことを呟いても、とうてい無理なのだが)。
さすが文士の裏メニュー、睡眠時間二時間半で原稿を仕上げたばかりの身には、染みた。
ただの食いしんぼではない。鎌倉文化に触れたのだ、と胸を張っておこう。
食べ物写真はなるべくアップしないという方針を破り、文化財保存ということで、例外的に掲載。