Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

ミャンマー映画 『夜明けへの道』へのコメント

2024-04-21 | Weblog
ミャンマーのドキュメンタリー映画『夜明けへの道』へのコメント
 
この映画が、この監督が、ここに存在することじたいが、希望である。ウクライナ、パレスチナだけでなく、理不尽な武力に蹂躙される人たちのため、私たちに何ができるのか。インターネットやスマートフォンの時代になっても、生身の人間が抗うということの根源を、突きつけられる思いだ。
 
坂手洋二(劇作家・演出家)
 
 
 
4月27日 全国公開。
 
写真は、コ・パウ監督。
 
 
 
解説

かつてビルマと呼ばれたミャンマーで、2021年2月1日早朝、国軍によるクーデターが発生。ミャンマーの現代史においては3回目となるクーデターだ。1回目は初めての軍政時代を導入した1962年3月、2回目は第二軍政期のきっかけとなった1988年9月である。そして2011年、長きにわたる軍事政権から民主化に大きく舵を切った。その後の10年、市民は自由と民主主義への希望を抱き始めていた。しかし今回のクーデターにより、一夜にして世界は転覆した。軍は前年の総選挙での不正を口実に、アウンサンスーチー国家顧問ら民主派政権の幹部を拘束、非常事態を宣言して全権を掌握。反発した市民の抗議デモは武力闘争に発展し、人々の自由と平穏な暮らしは崩れていった。3年が経つ現在でも一部少数民族と連携し、国軍との戦闘が激化している。地元人権団体によるとクーデター後、4500人近い市民が国軍に殺害され、計約2万6000人が拘束、避難民は約230万人にのぼる。

ミャンマーでは半世紀にわたる軍事政権が終わりを迎えた2011年以降、言論の自由が拡大。映画監督コ・パウは自由な時代の映画製作に勤しむ一方、COVID-19により外出が困難になると、家族で製作したコメディ動画をSNSへ投稿。総フォロワー数は100万人を越え、厳しいロックダウンに苦しむ市民を元気づけた。そんな中、軍事クーデターが勃発。コ・パウら芸能人は街に出て抗議デモを先導したことで指名手配される。国軍の残虐行為は次第にエスカレートしていき、デモ隊を機関銃で一掃するなど容赦ない弾圧に乗り出す。国軍から追われる身となったコ・パウは、民主派勢力の支配地域に逃亡し、ジャングルでの潜伏中に短編映画『歩まなかった道』(2022)を製作。そして現在も潜伏生活を続ける中で、自らのリアルな姿を撮影したセルフドキュメンタリー映画『夜明けへの道』を製作した。
人間としての尊厳を失った市民が、常に監視され、自己表現が制限される社会。現在でもミャンマーの人々は毎日、人道に対する罪を目撃し続けている。増え続ける死者数と高まり続ける拘留者率は、まさにディストピアである。軍に都合が悪い情報を発信するものはすべて処罰の対象となるため、国内外に情勢を伝えることは困難だ。それでも、ミャンマーに目を向けてほしい、そして民主化の時計の針を巻き戻すまいと、命がけで公開する本作はコ・パウ監督の今なお続く闘いと決意の実録映画だ。

作の興行収入より映画館への配分と配給・宣伝経費を差し引いた配給収益の一部は支援金とし、
コ・パウ監督らを通じてミャンマー支援にあてられます。
[配給: 太秦株式会社]

 

コ・パウ(監督)

1975年1月5日、ミャンマー中部マグウェ生まれ。
ミャンマーを代表する俳優・映画監督。1998年に脚本家として映画界に入り、その後俳優としても活躍。悪役などを演じて有名になる。2007年にはビデオドラマの監督でデビュー。俳優としては400本近くに出演したほか、多くのビデオ映画を監督し、15本の長編映画を製作している。コメディ映画からアクションのほか、社会問題に切り込む作品も製作しており、作風は広い。僻地の小学校に赴任した熱血教師の奮闘をコミカルに描く『涙は山を流れる』(2019)で2019年のミャンマーアカデミー賞(監督賞)に選ばれ、主演俳優のミンミャッはこの映画でアカデミー賞を受賞した。2021年2月1日ミャンマーで軍事クーデターが勃発すると、仲間の芸能人とともに抗議デモに参加。2月17日には国軍から追われる身となり、民主派勢力の支配地域に逃亡。潜伏中のジャングルで短編映画『歩まなかった道』(2022)を制作、今回セルフドキュメンタリー映画『夜明けへの道』を制作した。現在も軍への抵抗活動を続けている。

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映画『オッペンハイマー』についての、Zoom会議

2024-04-21 | Weblog

昨年『わが友、第五福竜丸』を上演したこともあってか、核問題と日米関係に関心のある知り合いも増えて、有志の皆さんと、映画『オッペンハイマー』についての、Zoom会議をした。

時差をものともせず日米の、また、国内でも全国あちこちの地域の、研究家、被爆者団体の関係者、平和運動家、アーティスト、ジャーナリスト、学生、等々、さまざまな立場・職種の関係者が集まる会議で、なんと、二十人が集まった。演劇関係者は、私一人。

映画『オッペンハイマー』の日本公開が、アメリカよりも大幅に遅れたこともあって、未見の人たちと既に観た人たちの間のやりとりは、それまでにもあって、いよいよ日本公開された暁には話してみよう、ということになった次第。

私の関心事はさまざまで、観てみないとわからないことだともいえたわけだが、例えば、「低線量被曝」がしっかり意識されているかどうかということ等にも関心があった。

とにかく、談論風発、数時間があっという間に過ぎた。

内容には今は触れないが、充実していたと思う。

この会議は継続してみよう、ということに、なった。

 

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