報道によれば、米空軍F22ステルス戦闘機12機(1個飛行隊)が約6カ月間、嘉手納基地に暫定配備される。飛行中にパイロットが低酸素症とみられる症状を起こし意識を失うなどのケースが多数確認され、米空軍が昨年から飛行停止している機種である。「危険機種」はオスプレイだけではない。なんにせよ野田首相は「配備自体は米政府の方針で、どうしろこうしろという話ではない」、つまり「属国なのでなんでも追従します」と言ってしまった。彼は「私自身がオスプレイに試乗して地元の不安を払拭したい」とも言っているわけで、きっとこのステルス機にも乗るつもりなのだろう。加えて野田首相は衆院で「尖閣諸島の周辺で領海侵犯などの不法行為があった場合、必要に応じて自衛隊を用いることも含めてきぜんと対応する」とも言った。いつからこの国は自衛隊にそんな任務を可能にさせたのだ。この発言への非難が少ないこともジャーナリズムと世論の濁りと停滞を感じさせる。……米国防総省が米議会に提出した米軍再編の第三者機関評価報告書で、普天間飛行場の辺野古移設の代替案として、あらためて那覇空港や伊江島補助飛行場などへの移設検討を提言しているのは、この間のオスプレイへの反対の気運について、問題の争点を誤魔化す目眩ましである。配備が予定されている普天間基地がある宜野湾市の佐喜真淳市長は「普天間飛行場返還合意の原点は、危険性の除去であり、地域住民の負担軽減だったはず。市民・県民の生命と財産を守るため、オスプレイの配備を許さず、一日も早い返還の実現を訴え続ける」というが、普天間に来なければいいという話ではない。オスプレイを許すことは海兵隊の存在を許すこと、基地の固定化そのものの容認を証明してしまうということについて、本気で皆が認識し、断固として拒否しなければならない。オスプレイパットの工事が強行されている高江のある東村・伊集村長はオスプレイ配備を「絶対に容認しない。県民大 会開催の意義を日米両政府に訴えないといけない」というが、まずは自分の管轄である高江に作られつつあるものがオスプレイパッドであることを明確に認め世論に伝えるべきだ。オスプレイに反対する沖縄県民大会は8月5日午後3時から宜野湾市の宜野湾海浜公園多目的広場で開催される。仲井真知事はこの県民大会への参加について「検討中。一般市民の集会にあえて出る必要はあるのか」とのたまっているらしい。高江を見殺しにできる者なら、沖縄、この国の市民も、みんな見殺しにするだろう。沖縄の県民大会を、明確に高江と連帯するものにしなくてはならない。……文楽協会への補助金凍結を表明、片方で不可能な条件を突きつけ非公開での面談を求め、協会側とのすれ違いが続いていた大阪・橋下徹市長は「二度と見にいかない」と言っていたはずの国立文楽劇場で、「曽根崎心中」を鑑賞。「古典として守るべき芸だということは分かったが、新規のファンを広げるためには台本が古すぎる」と言う。とんちんかんにもほどがある。呆れたのは「一番の素朴な疑問。なんで人間国宝の人形遣いの皆さんは、顔を出されるのか。文楽は人形の芝居のはず。心中の最後のクライマックスで、人形遣いの皆さんの顔が、人形の横にあると、舞台に入り込めない。集中できない。人間国宝以外の方は、皆黒子として顔を隠す」という発言で、想像力というものが欠如しているのと、「人間国宝」という権威に弱いことを露呈している。内田樹さんは「(橋下市長のような)自治体の首長が予算執行を経営者感覚(=無駄の削減)で行っていることじたいが変だ」「〈費用対効果の高い政治〉を徹底的につきつめると最適解はたぶん〈アメリカの51番目の州になる〉というあたりに落ち着く」という。「そうなれば、中国との尖閣問題でも、北方領土問題でも、円高問題も、TPPも、もう日本人は自主的には何も考えなくてよくなる。すべての懸案は日本人の肩から取り払われる。全部ホワイトハウスが私たちに代わって処理してくれる。沖縄における〈外国軍隊の不法占拠〉状態も一気に解決する(だってアメリカ軍は自国軍隊になるのである。彼らが基地外で市民に対して犯した犯罪は日本州警察が所轄し、オスプレイだってもちろん自国民の上に飛ばしたりはしない)」という。ブラックにも度が過ぎると思われるかもしれないが、現実の奇っ怪さは既にその段階に来ている。……イタリア滞在4日め。また時差ぼけがぶり返す。午前には生徒たちに発表してもらう。4組。後はまた、講義。夕方はファディル・ジャフ氏のワークショップにつきあう。思いがけずメイエルホリドの勉強をさせていただける。夜はスポレートの町でフェスティバル・フリンジ参加のワーク・イン・プログレスの短い作品を観る。
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