旅に出たい。
どこか遠くへ行きたい。
昔のテレビドキュメンタリーのようだが、つくづくそう思う。
遠くへ行きたいと言ったが、別にそんな大旅行でなくていい。
観光地などという、雑然としたところにはいきたくない。
日常の煩わしさから抜け出して、晴れ晴れとした田園で一日を過ごしたい。
ささやかな願いである。
枯れた田の案山子影なす残りの陽 素閑
知悠の故E画伯が存命の頃は、秋になると新制作展と日展の券をくれた。
だから、必ずこの両展覧会に行ってきた。
具象もあるが近年は抽象の作品が多くなってきたような気がする。
抽象も昔は意味不明で毛嫌いしていたが、後になると、結構、抒情的で具象に劣らぬ感性的訴求がされるものもあると知った。
もう美術展のチケットは手に入らない。
美術館に行って自分で買えばいいのだが、そうまでして観に行く気にはならない。
新聞の文化欄の批評を読むのみである。
日展の薄きピンクのカーデガン 素閑
