秋の気配が日に日に色濃くなってきた。
この夏の心残りといえば、皆既日食が見られなかったことと、もうひとつある。
「今日の午前2時から5時までが、ペルセウス座流星群のピークですよ」
日付が8月13日に変わった頃、マイミクさんからこんなメッセージをもらった。あいにく、私は携帯の電源を切って寝たあとだったので、これを読んだのは翌朝になってからだ。
残念、手遅れだったのか……。
しかし、ネットで検索してみると、ペルセウス座流星群はピークの前後10日くらいであれば見られるようだ。ピーク時には1時間に30~60個もの流星が現れ、天体初心者でも気軽に観測することができるという。
俄然見たくなり、明日こそはと意気込んで夜更かしした。私が寝る時間は、大体午前0時から1時の間だから、2時まで起きているのは正直言って辛い。でも、ちょうど仕事も休みだし、この機会を逃したらいつ見られるかわからないと思って頑張った。
1時間に30~60個ということは、1~2分の間に1個の割合で現れるってことかしら??
単純で姑息な計算をし、少なくとも5分間空を見上げれば、ひとつふたつは見られるだろうと予測した。
2時になり、ドキドキしながら庭に出た。雲の多い日が続いていたにもかかわらず、その日は月や星がハッキリと見え、流れ星の観測に最適と思われた。
だが、広い空のどこを探しても、流星群は見当たらない。煌々と輝いている星は、どれもこれも貼り付けられているように動かない。
1分経ち2分経つと、本来、短気な私は辛抱できなくなってきた。
頭が勝手に、部屋に戻る口実を探し出す。
そうだ、玄関が開けっ放し!
夫がトイレに起きたとき、玄関の鍵が開いていることに気づいたら、内側から施錠されてしまう。私は鍵を持たずに出てきたので、閉め出されるかもしれない。
「大変、さあ帰ろう」と、私はドアに向かった。
次の日、冷静になると、自分の行為が愚かに思えた。あと何分か待てば、流星群を見られたかもしれないのに、短気を起こしてチャンスを逃したことが悔しかった。
よし、今夜は早く寝て4時に起きて見よう。
私は朝型なので、夜更かしするより早起きしたほうがいい。今度こそペルセウス座流星群を見るのだと、気合いを入れて床に就いた。
翌朝午前4時。予定通り起床し、誰もいないのをいいことにパジャマで外に出た。北東の方角に出現すると聞いたので、ひたすらそちらを見る。昨日より雲が多いが、ところどころに切れ間があり、星も月も見えるから大丈夫だろう。
ピークの13日から2日が過ぎていることを考えると、5分待つだけでは不十分かもしれない。今回は、鍵も持ってきたことだし、10分くらいは頑張ってみようと思っていた。
しかし、ジッとしていると蚊が寄ってくる。私は刺されやすい体質なので、じわじわと不安が高まる。
もしや、蚊が流星群のように、私の周りを飛んでいるのでは?
余計なことを思いついた途端に鳥肌が立ち、その場にいられなくなった。
踵を返して、カーディガンのポケットから玄関の鍵を取り出す。
また、帰る口実を見つけてしまった……。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
この夏の心残りといえば、皆既日食が見られなかったことと、もうひとつある。
「今日の午前2時から5時までが、ペルセウス座流星群のピークですよ」
日付が8月13日に変わった頃、マイミクさんからこんなメッセージをもらった。あいにく、私は携帯の電源を切って寝たあとだったので、これを読んだのは翌朝になってからだ。
残念、手遅れだったのか……。
しかし、ネットで検索してみると、ペルセウス座流星群はピークの前後10日くらいであれば見られるようだ。ピーク時には1時間に30~60個もの流星が現れ、天体初心者でも気軽に観測することができるという。
俄然見たくなり、明日こそはと意気込んで夜更かしした。私が寝る時間は、大体午前0時から1時の間だから、2時まで起きているのは正直言って辛い。でも、ちょうど仕事も休みだし、この機会を逃したらいつ見られるかわからないと思って頑張った。
1時間に30~60個ということは、1~2分の間に1個の割合で現れるってことかしら??
単純で姑息な計算をし、少なくとも5分間空を見上げれば、ひとつふたつは見られるだろうと予測した。
2時になり、ドキドキしながら庭に出た。雲の多い日が続いていたにもかかわらず、その日は月や星がハッキリと見え、流れ星の観測に最適と思われた。
だが、広い空のどこを探しても、流星群は見当たらない。煌々と輝いている星は、どれもこれも貼り付けられているように動かない。
1分経ち2分経つと、本来、短気な私は辛抱できなくなってきた。
頭が勝手に、部屋に戻る口実を探し出す。
そうだ、玄関が開けっ放し!
夫がトイレに起きたとき、玄関の鍵が開いていることに気づいたら、内側から施錠されてしまう。私は鍵を持たずに出てきたので、閉め出されるかもしれない。
「大変、さあ帰ろう」と、私はドアに向かった。
次の日、冷静になると、自分の行為が愚かに思えた。あと何分か待てば、流星群を見られたかもしれないのに、短気を起こしてチャンスを逃したことが悔しかった。
よし、今夜は早く寝て4時に起きて見よう。
私は朝型なので、夜更かしするより早起きしたほうがいい。今度こそペルセウス座流星群を見るのだと、気合いを入れて床に就いた。
翌朝午前4時。予定通り起床し、誰もいないのをいいことにパジャマで外に出た。北東の方角に出現すると聞いたので、ひたすらそちらを見る。昨日より雲が多いが、ところどころに切れ間があり、星も月も見えるから大丈夫だろう。
ピークの13日から2日が過ぎていることを考えると、5分待つだけでは不十分かもしれない。今回は、鍵も持ってきたことだし、10分くらいは頑張ってみようと思っていた。
しかし、ジッとしていると蚊が寄ってくる。私は刺されやすい体質なので、じわじわと不安が高まる。
もしや、蚊が流星群のように、私の周りを飛んでいるのでは?
余計なことを思いついた途端に鳥肌が立ち、その場にいられなくなった。
踵を返して、カーディガンのポケットから玄関の鍵を取り出す。
また、帰る口実を見つけてしまった……。
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