これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

花粉襲来

2013年03月10日 16時27分08秒 | エッセイ
 私は何ともないが、夫と娘は花粉症である。
「ただいま~」
「おかえり。うっ、わっくし!」
 夫は私の顔を見るなり、大きなくしゃみを轟かせた。しかも、なかなかおさまらない。
「わっくし、わっくし!!」
 はくしょん、などという可愛い音ではない。1階から2階に届く大音量だ。夫は、「中途半端にくしゃみを止めると耳が痛くなる」と主張し、鼻と口から思い切り外へ出すようにしているらしい。本人はよくても、一緒の部屋にいる者の鼓膜が破れそうな衝撃である。
「お母さん、おかえり。ズズズ、ズビー」
 娘は、鼻水をすすりながらのお出迎えだ。
「お母さん、花粉落としてないだろ。急にくしゃみが……。わっくし!」
「ズビー」
 どうやら、私の髪や服についた花粉で、二人とも苦しんでいるらしい。もっと気をつかわないといけないものか。
 夫と娘はよく似ている。顔にアレルギー体質、血液型も同じだ。よく衝突しているのも、似たもの同士のなせる業であろう。
「お父さんが、黄砂とかPM2.5が飛んでくるって言ってたから、お母さんは外に出ないようにして」
「なんで?」
「部屋に持ち込むでしょ」
「……」
「喘息がぶり返したら大変だよ、ズビー」
 ひと言も言い返せなかった。
 そんなわけでここ何日かは、仕事のある日は出かけるが、仕事のない日はチャチャッと買い物をすませ、家の中で息をひそめている。退屈だが、花粉症でない私は、目を赤くし鼻水を垂らす家族の恨みを買わぬよう、控えめに過ごさねばならないのだ。
 それにしても、今日の天気はすさまじかった。
 昼食をすませ、家族3人でくつろいでいたら、空が急に暗くなってきた。
「お母さん、外がセピア色になってる!」
 


 窓に近づくと、尋常ではない風景が広がっているではないか。
「黄砂~!?」
 風が強まり、ピューピューと吹き荒れている。こんな色の嵐は初めてだ。
 私が窓に接近しただけで、娘が慌てていた。
「ズビー、絶対に開けないでよ!!」
「…………」
 何で、私が窓を開けると決めつけるのか? 花粉症の症状に、被害妄想はなかったはずだが。
 あとから、「黄砂ではなく煙霧」と報道されていたものの、花粉も相当混ざっていたと察する。
「わっくし、わっくし!」
「ズズズ、ズビー」
 今日も、二人は花粉と戦っている。
 そして、症状の出ない私を、横目でにらんでいる。
 早く平和にならないかな。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (16)
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