これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

お手軽ボランティア

2014年02月06日 21時43分39秒 | エッセイ
 昔の同僚は、よくこんなことを言っていた。
「使用済みの切手を家内が集めていますので、よろしければ、いただけますか」
 消印のついた切手でも、珍しい切手を求めて、コレクターが買い取ってくれるらしい。そのお金で、途上国の子どもたちのワクチンや、妊産婦の薬などを購入し、人の役に立てるのだという。
 誰にでもできそうなことなので、勤務先の学校でもやってみた。
「家に使用済みの切手があったら、学校に持ってきてくれますか? それで人の命が救えるんです」
 しかし、世の中は変わった。今の子どもは、手紙を書いたことがないし、年賀状すらやりとりしない。家庭に切手など、あるはずがなかった。待てど暮らせど、切手は1枚も集まらない。
 
 読み間違えた……。

 しょんぼりしていたら、声をかけてくれる先生がいた。
「笹木先生、切手を集めているんですよね。これでもいいですか」
「わあ、ありがとうございます!」
 わざわざ、自宅から郵便物を持ってきてくれた職員がいた。生徒にはスルーされたが、同僚が協力してくれたおかげで、切手は徐々に集まってきた。
 調べてみたら、使用済みのディズニーリゾートパスポートも換金できるらしい。こちらのほうは、生徒の反応もよかった。
「ディズニーランドやディズニーシーの使用済みパスポートでも、ワクチンや薬を贈ることができます。いらなかったら、持ってきてください」
「へー、そうなんだ。じゃあ先生、これ、どうぞ」
 その生徒は、たまたま財布に入れていたらしく、ディズニーランドのワンデーパスポートを、気前よく差し出した。
「アタシも持ってる」
 おかげで、こんなに集まった。



 切手のほうも、教職員の力で、なんとか900枚ほど集まった。



 この時期は、書き損じの年賀状なども喜ばれるらしい。ちょうど取っておいたので、一緒に送るつもりだ。
 切手を封筒から切り取る作業を、生徒に手伝ってもらったのだが、このときの会話が新鮮だった。
「切手って、いろいろな絵があっておもしろい」
「これ、可愛いね」
「これも、キレイ」
 女の子たちは、ハサミを片手に、物珍しそうな顔で切手を眺めていた。
 これを機に、郵便に興味を持ってくれればと思うのだが。
 ボランティアを続けるコツは、無理のない範囲で取り組むことではないだろうか。
 大きなことはできないけれど、できることから始めてみるのがよさそうだ。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)
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