これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

キッコーマンで学ぶ醤油作り

2015年10月04日 20時13分35秒 | エッセイ
 千葉県野田市には、キッコーマンのしょうゆ工場がある。



 東武野田線「野田市」駅から徒歩3分と、非常に交通の便がよいので、見学を申し込んでみた。時間帯は9時、10時、11時という具合で1時間刻みになっており、午後もある。私は11時の回にした。
 入口で受付をすませ、駐車場を歩いていると、レトロな建物が目に入る。



 朱塗りの橋まであって、しょうゆ作りが始まった江戸時代を再現しているようだ。



 入口は小さいが、中は相当広い。



 エントランスでは、特大のしょうゆ差しがお出迎えしてくれた。



 9時、10時の回では小学生の社会科見学を実施したようで、たくさんのちびっ子たちに会ったが、11時の回では、リタイア後のおじいさん軍団と一緒だった。家でゴロゴロせず、仲間と連れ立って勉強に出かける行動派は貴重であろう。うちの夫に見習わせたいものだ。
「ではまず、しょうゆ作りの映像からご覧ください」
 見学はDVD鑑賞からである。最初は話し声が聞こえたけれど、「ほら、始まったから静かに」とリーダー格のおじいさんが合図すると静かになった。統制がとれた集団らしい。
 15分ほどで映像学習は終了した。
「それでは、館内をご案内いたします。段差がありますので、お気をつけてお歩きください」
「はーい」
 おじいさんたちは、どっこいしょと腰を上げ、係員についていった。先ほどDVDで予習したことを、今度は実物で確認していくのだ。
「しょうゆの原料は、大豆・小麦・塩です。1リットルのしょうゆを作るに必要な量は、これだけです」



 容器は、左から大豆、小麦、塩の順に並んでいる。3種類を合わせると、容器の8分目あたりまで届きそうなので、意外に量が多いとわかった。同じものがエントランスにもあったが、「食べないでください」の注意書きがあったことを思い出す。見学の大半が子どもと高齢者のせいか、面白半分に味見されることがあったのかもしれない。
 しょうゆの作り方をわかりやすく解説してもらった。大豆と小麦を加熱し、混ぜ合わせたところに麹を入れる。3日間培養したら食塩水を加え、数カ月かけて発酵・熟成させて、「もろみ」を作り出す。発酵が終わったら、黒ずんだもろみを布で包み、ろ過してしょうゆを取り出すそうだ。
「しょうゆかすは牛や魚のエサになりますので、ゴミにはしません」
 ちなみに、このしょうゆかすを乾燥させて板状にしたものを見せてもらった。手に取ると、クラッカーのような軽さである。「匂いを嗅いでみてください」という言葉のあとに、またもや「食べないでくださいね」と付け足され苦笑する。おそらく過去には、しょうゆの香りに食欲をそそられ、「結構イケるよ、ムシャムシャ」などなった見学者がいたに違いない。
 搾り取ったあとのしょうゆは加熱し、酵素の働きをとめれば完成となる。普段、何のありがたみもなしに使っているしょうゆだけれど、長~い時間が必要なのだと理解した。
「こちらは、歴代のしょうゆの容器です。江戸時代は樽でしたが、その後缶になり、瓶、ペットボトルへと変わっていきます」



 私の目は、一升瓶に釘付けとなった。そうだ、子どもの頃は、しょうゆといったら大きな瓶だった。母におつかいを頼まれたとき、しょうゆの重さに閉口したことをおぼえている。見なくなって久しいが、こんなところで再会できるとは思わなかった。
 このあとは、ろ過後に加熱処理をせず、酵素の働きをとめただけの「生しょうゆ」をおみやげにいただいて終了となった。時間にして50分ほどだったろうか。



 館内には「まめカフェ」というコーナーがある。
 私は、しょうゆソフトクリームなるものに挑戦した。



 受け取って、見た目の美しさに感動する。まるで、店頭にある置物のような巻き具合。これは売り子さんの腕の問題であろう。観光地のバイトと違って、熟練工の仕事という気がした。
 お味の方は、しょうゆの風味が生きているバニラなのだが、好き嫌いが分かれそうだ。血液型O型の私には、甘いのかしょっぱいのか、ハッキリしない味だと感じた。みたらし団子並みに、しょうゆの存在感を押し出してほしかった。
 でも、この微妙さがいいという人も多そうだ。ほんのりと、しょうゆ色に染まったバニラが奏でる微かな甘さ。これが理解できないなんて日本人じゃないわ、なんてね。ぜひ、お試しのほどを。
 ソフトクリームを食べ終わる頃、おじいさん軍団もカフェにやってきて、全員で豚汁を頼んでいた。
 そっちにすればよかったかしら。


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コメント (16)
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