「第三の時効」 横山秀夫 集英社
6編からなる短編集
「沈黙のアリバイ」
強盗殺人及び殺人未遂で起訴された湯本。
状況証拠だけで物証がないが、取調べで湯本は「落ちた」はずだった。
しかし法廷の罪状認否で湯本は無実を主張してアリバイがあると言う。
「第三の時効」
武内は幼馴染の本間ゆき絵の夫、敦志を殺して逃走していた。
15年経過した日が「第一の時効」。しかし武内は7日間海外に出ていたので、7日後が「第二の時効」。
武内がそれを知らないことを頼りに、ゆき絵に接触してくるのを待つ警察。
7日後にすべてが終わるという刑事に楠見は「第三の時効」という意味のことを仄めかす。
「囚人のジレンマ」
3班それぞれに殺人事件をかかえていた。
主婦殺し、証券マン殺し、調理師殺し。
人情が見られる物語。
「密室の抜け穴」
班長の村瀬が倒れた。代理は東出が勤める。
三班と暴力対策課共同で見張りをしていた容疑者早野誠一がマンションから姿を消す。
それぞれ見張りに落ち度はなかったという。
お互いに責任を押し付けあうが。
「ペルソナの微笑」
8歳の子ども阿部勇樹を利用して、青酸カリをその父親に飲ませた犯人。
時を経て、同じ容貌の人物がまた青酸カリでホームレスの男を殺した。
かつて子どもの時に誘拐に利用された刑事矢代。
そのことに後で気が付き、それが原因で妹を殺そうとしてしまった矢代は、自分の本性を隠すために身に着けたもの。
それはただ顔に貼り付けた偽りの笑み。
勇樹に会うと、自分と同じ笑みをしていた。
「モノクロームの反転」
一家3人殺しには5歳の子どもいた。
早期解決に向け田畑捜査第一課長は、一班と三班を向わせる。
1+1が3や4になるか、それとも1以下になる可能性もあった。
捜査会議では誰もが押し黙り情報を交換することはなかった。
隣の住人は悲鳴が聞こえ暗室の直径3センチの穴から覗くと、白い車が停まって視界を塞いでいたという。
しかし容疑者は黒い車に乗っていた。
どれも簡潔にまとまり、かつ勢いもある短編らしい物語で面白かった。
F県警捜査第一課強行犯捜査一係が舞台で、「一班」の班長朽木、「二班」の班長楠見、「三班」の班長村瀬がそれぞれ個性的に事件を解決に導いていく。
「理詰め」「冷徹」「勘」という三者三様の個性だが、人物的には3人ともなんとなく似たイメージであまり区別が付かなかった。
笑わず話さずむっとしている、という印象。刑事の特徴なのだろうか。
事件解決になるポイントも、なるほどと思わせる。
よく考えないと簡単には分からないことだ。
そして、事件解決と同時に各班の相手に負けたくないという意地が前面に出て、かなり人間臭い物語にもなっている。
殺人事件を扱っていることもあり、全体の雰囲気はかなり重く暗い感じがする。
読み応えと余韻は短編とは思えないほどある。
6編からなる短編集
「沈黙のアリバイ」
強盗殺人及び殺人未遂で起訴された湯本。
状況証拠だけで物証がないが、取調べで湯本は「落ちた」はずだった。
しかし法廷の罪状認否で湯本は無実を主張してアリバイがあると言う。
「第三の時効」
武内は幼馴染の本間ゆき絵の夫、敦志を殺して逃走していた。
15年経過した日が「第一の時効」。しかし武内は7日間海外に出ていたので、7日後が「第二の時効」。
武内がそれを知らないことを頼りに、ゆき絵に接触してくるのを待つ警察。
7日後にすべてが終わるという刑事に楠見は「第三の時効」という意味のことを仄めかす。
「囚人のジレンマ」
3班それぞれに殺人事件をかかえていた。
主婦殺し、証券マン殺し、調理師殺し。
人情が見られる物語。
「密室の抜け穴」
班長の村瀬が倒れた。代理は東出が勤める。
三班と暴力対策課共同で見張りをしていた容疑者早野誠一がマンションから姿を消す。
それぞれ見張りに落ち度はなかったという。
お互いに責任を押し付けあうが。
「ペルソナの微笑」
8歳の子ども阿部勇樹を利用して、青酸カリをその父親に飲ませた犯人。
時を経て、同じ容貌の人物がまた青酸カリでホームレスの男を殺した。
かつて子どもの時に誘拐に利用された刑事矢代。
そのことに後で気が付き、それが原因で妹を殺そうとしてしまった矢代は、自分の本性を隠すために身に着けたもの。
それはただ顔に貼り付けた偽りの笑み。
勇樹に会うと、自分と同じ笑みをしていた。
「モノクロームの反転」
一家3人殺しには5歳の子どもいた。
早期解決に向け田畑捜査第一課長は、一班と三班を向わせる。
1+1が3や4になるか、それとも1以下になる可能性もあった。
捜査会議では誰もが押し黙り情報を交換することはなかった。
隣の住人は悲鳴が聞こえ暗室の直径3センチの穴から覗くと、白い車が停まって視界を塞いでいたという。
しかし容疑者は黒い車に乗っていた。
どれも簡潔にまとまり、かつ勢いもある短編らしい物語で面白かった。
F県警捜査第一課強行犯捜査一係が舞台で、「一班」の班長朽木、「二班」の班長楠見、「三班」の班長村瀬がそれぞれ個性的に事件を解決に導いていく。
「理詰め」「冷徹」「勘」という三者三様の個性だが、人物的には3人ともなんとなく似たイメージであまり区別が付かなかった。
笑わず話さずむっとしている、という印象。刑事の特徴なのだろうか。
事件解決になるポイントも、なるほどと思わせる。
よく考えないと簡単には分からないことだ。
そして、事件解決と同時に各班の相手に負けたくないという意地が前面に出て、かなり人間臭い物語にもなっている。
殺人事件を扱っていることもあり、全体の雰囲気はかなり重く暗い感じがする。
読み応えと余韻は短編とは思えないほどある。
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