しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「翼があるなら」 コニー・メイ・ファウラー 

2008年07月13日 | 読書
「翼があるなら」 コニー・メイ・ファウラー    青山出版社
Before Women Had Wings        澁谷正子・訳
1965年アメリカフロリダ州。

アヴァセット・アビゲイル・ジャクソンはバードと呼ばれ、は両親のビリーとグローリー・マリーと姉のフィービーと暮らしていた。
両親は貧しさや思い通りにならない人生に苛立ち言い争いが絶えず、バードやフィービーにも辛く当たることが多かった。
ビリーが自殺をして、親子3人は田舎町から大都会のタンパを目指す。
グローリーは途中のモーテルで仕事を見つけ、そこの敷地内トレーラーで暮らし始める。
酒をたくさん飲むようになったグローリーは酔うとビリーの自殺の原因はバードだと言い、躾だと暴力を振るうこともあった。
暴力に怯えるバードは小さい時から自分の世界に逃げ込もうとして、失語症になったこともあった。

バードの本当の名前はアヴァセット。(アビセット・アビゲイル・ジャクソン)アヴィセットはソリハシセイタカシギ。
フィービーはツキヒメハエトリ
鳥の名前が付いている。
それは、母親が「翼を持つ生き物の名前を持っていたら、このいまいましい現実から飛び立っていけるのではないか」と考えて付けたのだった。



バードの6歳から9歳の物語。
父親は7歳の時に自殺し、これは作者の自伝的要素の強い小説ということだ。
母親に虐待を受けても、悪いのは自分だと思ってしまう。
自分が悪いからと自分自身も愛せない。
そんなバードに、この物語には心に寄り添ってくれる人が現れる。
悪くないとはっきり言ってもらうことで、そのことに気が付き、救われた思いがするバード。
すべてが分からなくても、寄り添ってくれる存在の大きさ。
虐待している母親も、悪いことをしていると気が付いているのだが、自分の気持ちが止められない。
身体的な暴力もそうだが、言葉の暴力も計り知れない傷を与える。
誰かが介入しないと解決しない問題もあるのだが、お互いに誰にも知られたくないことだから難しい。
今の社会でも大きな問題のひとつ。
こういうことがあることを知り、人と人がもっと触れ合って、気が付いてあげることが大切なのだと思う。
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