しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「サファイア」  湊かなえ 

2014年10月14日 | 読書
「サファイア」  湊かなえ   角川春樹事務所     

6編からなる短編集。

「真珠」
林田万砂子、50歳、主婦に呼び出されて話をしているのは、33歳の平井篤志。
2人はそれぞれの人生に、ムーンスター社製の歯磨き粉「ムーンラビット」やシャンプー「マイルドフラワー」があった。
それが共通の話題となり、過去の話へと。

「ルビー」
瀬戸内海に浮かぶ小さな島で暮らしていた私。
3年振りに実家に帰ると、家族は隣の老人福祉施設の入居者の老人と親しくしていた。
それは、少々変わった施設で、建設にあたり家族会議で建設を認めたものだった。
老人から貰ったという菓子は高級品で、母親は胸元に大きなブローチを付けていた。
その事から私はある事件を思い出していた。

「ダイヤモンド」
お見合いパーティーで出会い、結婚することになった俺と山城美和。
そんな俺のところに、助けた雀が人間の姿になって恩返しに来た。
俺は美和に誕生日のプレゼントをするために、今1番欲しいものを調べて来て欲しいと頼む。
そして雀は美和の欲しいものはと言って、ある男の名前を言う。

「猫目石」
マンションに住む大槻家は隣室の女性、坂口の猫が迷子になった事で親しくなる。
引っ越して半年でそれまで交流はなかった。
その坂口が、あることをそっと大槻家のそれぞれに囁く。

「ムーンストーン」
市議会議員の妻は、夫が選挙に落選したのを契機に暴力を振るわれるようなる。
ある日、夫が娘にも手を振り上げたのを止めようとして夫を死亡させてしまう。
留置所に妻を訪ねて来た女性弁護士は、妻の同級生だった。

「サファイア」
旅先で知り合い、お互いに初めての恋人同士になった2人。
しかし、彼女の誕生日前に彼は死んでしまう。
事故と見られた死だったが。

「ガーネット」
作家紺野マミが書いたデビュー小説「墓標」はヒットする。
それは、それまでの人生の中で湧き上がってきた暗い黒い思いを書き殴ったものだった。
映画化も決まり、主演女優と対談することになる。
そこで、59万円の指輪が登場する。








何だか面白さがよく分からない物語も。
あまり身近に感じられないからかも知れない。
オチもそれほど驚くようなことはなかった。
その中では、「サファイア」がよかった。
悲しい結末になるが、それまでも優しい雰囲気で、曖昧で終わるのもこの物語に合っている感じ。
と思ったら、「ガーネット」はその続編。
その後がわりとしっかりと分かる。
復讐の物語のなるのかと思ったら、ハッピーエンド。
それが少々意外だったが。
どちらにしても、現実ではそれ程上手くは行かないだろうと思うけど。
印象に残る出来事とは、それだけ鮮明に記憶に刻まれるということか。


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